しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2022年7月1日(金)

熱海土石流災害から1年

被害者の会副会長に聞く

被災者の声反映した復興を

 静岡県熱海市の土石流災害からまもなく1年がたちます。27人が亡くなりいまだに1人が行方不明です。住まいを失った多くの被災者は民間の借り上げ住宅や公営住宅に身を寄せています。「被害者の会」副会長の太田滋さんと妻のかおりさんに、坂庭国晴・NPO住まいの改善センター理事長と聞きました。

 (日本共産党国民運動委員会・高瀬康正)


写真

(写真)熱海土石流被害者の(左から)太田かおりさん、滋さん夫妻

 ―被災者の住まいの現状はどうなっていますか。

 同じ地域の住民が避難先で離れ離れになっています。熱海市は現状を把握していますが、被災者が求める情報を的確に出してくれないので、不安がつのる状況にあります。

 私の家は全壊ですが、戻ろうと思っています。元の地に戻る人は半数ぐらい。私たちのように全壊した被災者が戻れるめどはまったくありません。日時がたつとともに子育て世帯や高齢世帯は今後の見通しが立たなくなります。戻ろうと思っていた人も戻れなくなる可能性があります。

 ―市議会では調査特別委員会(百条委員会)が開かれました。災害の原因解明は進んでいますか。

 土石流災害の原因をつくった業者に損害賠償を請求する裁判が続いています。近く熱海市など行政の違法行為や不作為を問う裁判の提訴を検討しています。

 ―被災から1年がたちます。

 「もう1年、まだ1年」という複雑な思いです。市は復興計画についてきちんと説明してくれない。時間がたてばあきらめると思っているのではと、対応の不誠実さに怒りを覚えます。避難者と住民参加の「まちづくりワークショップ」があり、みんなが要望を出しました。しかし、市が委託したコンサルタント会社は被災者に向き合った丁寧な説明をしてくれません。

 市は、私が農業をやっていた畑を住宅地にしようと考えているようですが、息子も農業をやりたいと言っているので残してほしい。とにかく被災者の意見や要望を十分反映した復興を進めてほしい。そうでないと元に戻る人がどんどん減るのではないかと心配しています。


pageup