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2022年6月27日(月)

NHK日曜討論 小池晃書記局長の発言

 26日のNHK「日曜討論」での日本共産党の小池晃書記局長の発言は次の通りです。

物価高騰対策は

消費税減税と賃上げを―消費税は富裕層と大企業減税に使われてきた

 番組では、国民生活を苦しめている物価高騰対策が議論になりました。

 自民党の茂木敏充幹事長が、食料品とエネルギーに絞って対策をやって、欧米の物価高に比べれば、「低く抑えられています」と発言。消費税は社会保障の財源だとして、消費税率を下げると「年金財源3割カットしなければなりません」と述べました。

 これに対して小池氏は、物価高騰への効果的な対策と消費税減税などを提案しました。

 小池 与党は「(物価高対策を)やった、やった」と言いますけど、生活必需品では4・7%も上がっています。一方で実質賃金は4月、マイナス1・7%。悲鳴があがっています。最も効果的なのは消費税の減税です。そして賃上げです。大規模な中小企業支援とセットで最低賃金を時給1500円に引き上げる。物価が上がっている時に年金を下げる。こんなことはやめるべきだ。

 先ほど、(消費税は)社会保障の財源だとおっしゃいました。しかし、導入から34年で消費税収476兆円に対して、所得税と住民税が289兆円減り、法人税は324兆円減っています。結局、消費税は富裕層と大企業の減税の穴埋めになったというのが紛れもない事実です。

 この間、世界91カ国と地域でなんらかの形で消費税を減税しています。最も効果的な物価高騰対策だからです。政府は決断できず、あれこれとできない理由を並べるのなら、選挙で結論を出すしかないと思います。

エネルギーの安定供給・原発は

外国頼み・原発頼みは危険――原発ゼロを決断し、再生エネに転換を

 物価高騰と関連して、エネルギーの安定供給の問題が議論に。原発再稼働の是非を議論しました。

 茂木氏は安全性を前提として「再稼働すべきだ」と発言。日本維新の会の藤田文武幹事長は「(再稼働を)ぜひ政治がしっかり力を入れてやるべきだ」。国民民主党の榛葉賀津也幹事長は、「電力の安定供給がまさに(日本の)命綱」「原子力発電所は当然再稼働すべきだ」と発言しました。

 小池氏は、原発頼みのエネルギー政策を批判し、再生可能エネルギーと省エネルギーへの転換を訴えました。

 小池 東京電力福島第1原発の事故はいまだに収束していない。「安定供給のために再稼働」と言うけれど、福島の苦しみを一体どう考えているのか。日本のエネルギー自給率は1割程度で、先進国で最低レベル。これがウクライナ危機による原油高騰で、外国頼みが危険だということがはっきりした。

 だからといって原発頼みは危険です。しかも原発は高コストです。私たちは100%国産で、地産地消の再生可能エネルギー、省エネルギーを組み合わせ、気候危機打開への責任を果たす。そうすれば、新たに254万人の雇用を生み出すことができるということも含めた提言をしています。(自公政権は)原発ゼロを決断しないから、再生エネルギーも本当に世界から遅れを取っているのです。

 原発も石炭火力も止めて、気候危機を打開して、地球の未来を守る方向に抜本的に切り替えるべきです。

軍事費の増額は

生活を押しつぶし、「軍事対軍事」の悪循環に陥る大軍拡は反対――自民は財源示せ

 次に、番組は、政府が「骨太の方針」で軍事力の「5年以内に抜本的に強化」を明記し、NATO(北大西洋条約機構)の加盟国がGDP(国内総生産)比2%を目標としていることを例示していると紹介。大軍拡について議論しました。

 茂木氏は「来年度予算で防衛費について6兆円台のなかばを確保する。5年以内にNATOは対GDP比2%以上ということですけれど、対GDP比2%を念頭に防衛力をしっかり整備できる、こういう予算水準を確保する必要がある」と述べました。

 小池氏は、軍拡は「危険な悪循環」につながると述べ、政府が大軍拡の財源を示さないのは無責任だと批判しました。

 小池 ロシアの侵略はもちろん許せませんが、これに対して軍事力強化に走れば、ますます危険な悪循環になるだけです。(GDP比2%以上は)5兆円以上の大軍拡です。世界第3位の軍事大国になります。先ほどは消費税の減税を財源を理由に拒否したが、なぜ軍事費の財源は一言も言わないのか。国民1人当たり年間4万円、4人家族で16万円を新たに負担しなければいけない規模です。消費税の増税か、暮らしの予算を大幅に削減するのか、岸田さんはまったく答えない。無責任すぎます。具体的なことを言うと、国民が反対するからですか。白紙委任は許されない。日本を軍事対軍事の危険な道にすすめるだけではなく、暮らしも押しつぶす大軍拡には反対です。

「敵基地攻撃能力」保有の是非

相手から見れば先制攻撃そのもの

 議論は「敵基地攻撃能力」の保有の問題に進みました。

 茂木氏は「敵基地攻撃能力」の保有を「必要」と主張。「相手が、ミサイルを撃つ、また、明らかに撃つ兆候がある。こういう場合に限って、反撃を行うということです」「おそらく敵基地だけではなくて、相手の通信機能であったり、それからその本部、こういったものも、『反撃』をしないと、またミサイルが飛んでくる」と発言しました。公明党の石井啓一幹事長は、日本が「盾」、米国が「矛」の役割を担ってきたと指摘し「『矛』の役割の一端を日本も担うべきではないのかというのが、今回のこの『反撃能力』(敵基地攻撃能力)の議論だ。今後十分議論をしていきたい」と述べ、攻撃力保有に前向きな姿勢を示しました。

 小池氏は、「敵基地攻撃能力」の保有は「専守防衛」を投げ捨てることになると批判。政治の役割は戦争をしない外交をすることだと主張しました。

 小池 相手の攻撃を受ける前にたたくのですから、これは「反撃」ではありません。先ほど「矛を持つ」と言われたが、専守防衛を投げ捨てるということです。茂木さんは「中枢」を攻撃するとおっしゃったけど、報復攻撃を受け、日本中が戦場になりかねない。安保法制=戦争法のもとで、日本に対する武力攻撃がなくても、アメリカと一緒になって自衛隊が武力行使することを可能にしてしまったのです。だとすると、相手国から見れば、日本が先制攻撃をするということになります。

 中国の尖閣諸島の領海侵犯や北朝鮮のミサイル発射は断じて許せません。これに軍事で対抗するという路線にひた走っていったならば、ますます緊張が高まって予期せぬ衝突も起こりかねない。軍事力一辺倒の議論ではなく、戦争をしないのが政治の最大の役割です。戦争を未然に防ぐ外交努力を徹底的にやっていくことが必要だと思います。

外交では

9条に基づく平和外交――核兵器禁止条約に参加を

 次に議論は東アジア外交について行われました。茂木氏は、日米同盟は「過去最も強化されている」「日米同盟、そして日米韓、そしてクアッドといった枠組みを行使して、友好国と連携するということも大事だ」と発言。藤田氏は、軍事の議論よりも外交の議論をすべきだというのは「少し間違い」だと述べ、外交を行う上で「軍事的な裏付け」が必要だと主張しました。

 小池氏は、憲法9条を生かした平和外交の重要性を指摘しました。

 小池 日本外交が取るべき道は、東アジアに集団的な安全保障の仕組みをつくること。そして、核なき世界の実現に向かう外交が必要だと思います。

 絵空事ではありません。武力紛争が絶えなかった東南アジアではいま、ASEAN(東南アジア諸国連合)のもとで、友好協力条約を結んで、再び戦争しないと決めています。(ASEANは)東アジアサミットを開き、東アジアに協力と安全保障の枠組みを広げようと努力しています。ここには、日本も中国も韓国もアメリカもロシアも参加しています。土台はあるわけですから、憲法9条を持っている日本こそ、特定の国を排除したり分断するのではなく、東アジアの全ての国を包摂する、包み込む枠組みをつくるべきであり、これが日本外交の最大の責務です。

 もう一つは、核兵器禁止条約への参加です。締約国会議になぜ日本政府が参加しなかったのか。NATO加盟国のドイツも、あるいはオランダなどもオブザーバー参加しました。日本は、核禁条約に参加して、唯一の戦争被爆国として、核なき世界の先頭に立つべきだし、その立場をアジア外交の中でも貫くべきだと思います。

憲法改定は

9条は「再び戦争しません」という宣言――憲法が目指す政治を

 最後に、改憲についての話題に進みました。

 茂木氏は「(選挙後)できるだけ早いタイミングで憲法改正原案を、国会での可決、そして改正の発議を目指したいと思います」「主要政党間で(改憲の)スケジュール感を共有して、早期に憲法改正実現したい」と表明しました。

 小池 先ほど東アジアに全ての国を包摂する平和と協力の枠組みをつくろうと言いましたが、その際二度と戦争しないとアジアと世界に誓った憲法9条の役割が本当に大事です。9条を守るのか、壊すのかが参院選の大争点になったと思っています。今9条を変えれば、「戦争しない国」はやめますと、何の制約もなく武力行使する国になりますという世界への宣言になってしまう。

 今の日本に必要なのは、憲法を変えることではない。「個人の尊厳」「両性の平等」「生存権の保障」など、憲法が目指した政治を実現することです。共産党への1票で憲法9条を守ろうと訴えていきたいと思います。

 今後の改憲論議について問われ、茂木氏は「一つの結論を出していくと。こういう時期に来ている」と発言。榛葉氏は「憲法議論を積極的にしていく」と述べました。藤田氏は「(自衛隊を憲法に)明記すべき」と述べたうえで、「いつごろから共産党さんも自衛隊を認めているのか」などと発言しました。

 小池氏は、改憲問題で“翼賛体制”がつくられる危険を指摘しました。

 小池 憲法9条を変えるのかどうかは、この国の政治の根本に関わる問題です。このことで一方向に国会が進んでいくことは、非常に危険なことだ。憲法9条を守ろうというのが国民の多数の意思です。これを実行していくということに力を尽くしたい。

 「共産党は自衛隊を認めている」という発言がありましたけど、「陸海空軍その他の戦力は保持しない」という憲法と自衛隊とは、これは相いれない。そこ(憲法9条)を変えてしまったら「普通の軍隊」になって、海外で無制限に武力行使ができるようになってしまう。絶対にそんな改悪はしてはいけないと申し上げたい。


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