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2022年6月24日(金)

主張

参院選と憲法

9条破壊の企てを打ち破ろう

 ロシアによるウクライナ侵略に乗じて改憲勢力が「憲法9条で平和が守れるか」などと主張するなか、改憲問題が参院選の重要争点になっています。自民党は9条に自衛隊を書き込む改憲案の早期実現を公約の柱に掲げています。日本維新の会も自衛隊を9条に明記することを公約しました。公明党の公約も自衛隊明記の改憲案について従来よりも踏み込む表現になっています。改憲勢力は参院選後の国会で改憲案を早くとりまとめ、発議することに強い意欲を示しています。9条破壊を狙う自公や維新などの企てを許さない審判を下すことが不可欠です。

海外での武力行使可能に

 岸田文雄首相は公示第一声で「選挙を通じて、憲法改正をはじめ未来に向けてさまざまな課題に挑戦する」と強調しました。自民党は参院選公約で「自衛隊の明記」などの改憲を「早期に実現する」とはっきり打ち出しました。昨年の総選挙公約の早期に「目指す」からトーンを強めています。

 維新の会も公約で「憲法9条に自衛隊を規定し、攻められないための防衛力を抜本強化」と前面に掲げました。公明党は9条に自衛隊を書き込む案について、昨年総選挙の「慎重に議論」という記述を「検討を進め」に変えました。自公と維新が9条に狙いを定めた改憲案で事実上足並みをそろえていることは、重大です。

 9条に自衛隊を明記したらどうなるのか。9条2項は「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」「国の交戦権は、これを認めない」と規定しています。自民党改憲案は、2項の後に「前条の規定は…自衛の措置をとることを妨げず」とした上で自衛隊の保持を書き込むとしています。そうなれば2項の制約は自衛隊に及ばなくなり、死文化してしまいます。

 しかも、自民党改憲案にある「自衛の措置」は集団的自衛権の行使を含みます。2015年の安保法制=戦争法の国会審議の際、当時の安倍晋三・自公政権は「武力行使を目的にした海外派兵はできない」「フルスペックの(全面的な)集団的自衛権の行使はできない」と説明しましたが、この制約も外れることになります。

 自衛隊の存在を追認するにとどまらず、自衛隊が海外で無制限の武力行使をすることを可能にする極めて危険な改憲案です。

 自民党の茂木敏充幹事長は改憲について「参院選後、できるだけ早いタイミングで改正原案の国会提案、発議を目指したい」と明言しました。維新の会は、来春の統一地方選に合わせ改憲の国民投票の実施を自民党に迫っています。改憲発議に必要な3分の2議席以上を改憲勢力で確保し、改憲策動を一気に加速させようという狙いです。国民民主党も憲法審査会の議論促進に熱心です。憲法破壊のたくらみを許してはなりません。

改憲の逆流を許さない

 自衛隊の9条明記案は17年に安倍首相が打ち出しましたが、世論と運動で阻まれています。いま自民党などが改憲を声高に叫ぶのは、年来の野望をウクライナ危機に乗じて実現しようというものです。施行75年の憲法の下で自衛隊員は一人の戦死者も出さず、一人の外国人も殺していません。日本を「戦争する国」にする逆流を阻み、9条を生かす平和外交を進める政治に切り替える時です。


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