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2022年6月23日(木)

主張

6・23「慰霊の日」

沖縄戦の悲劇 再び繰り返すな

 沖縄はきょう、県が定めた「慰霊の日」を迎えます。77年前の沖縄戦で命を奪われた20万人余の犠牲者を追悼し、恒久平和を誓う日です。沖縄戦最後の激戦地・本島南部の摩文仁(まぶに)の丘にある平和祈念公園(糸満市)では「沖縄全戦没者追悼式」が開かれます。22日公示された参院選で、自民党や日本維新の会、国民民主党などが、「敵基地攻撃能力」の保有をはじめ大軍拡を公約しています。ウクライナ危機を口実に、東アジアでの米国の軍事戦略に日本を組み込み、沖縄を再び戦場にしかねない危険極まりない企てです。

各党が異常な軍拡大合唱

 自民党の参院選公約は、軍事費について、対GDP(国内総生産)比2%以上も念頭に「来年度から5年以内に、防衛力の抜本的強化に必要な予算水準の達成を目指す」としています。相手国のミサイル発射拠点などを破壊する敵基地攻撃能力については「わが国への武力攻撃に対する反撃能力を保有し、これらの攻撃を抑止し、対処する」と明記しています。

 しかも、「反撃能力」の対象を「ミサイル基地に限定されるものではなく、相手国の指揮統制機能等も含む」とし、国家中枢までも標的にしています。これについては自民党内でも「いたずらに周辺国を刺激するだけでなく、対処のための準備を促し、軍拡競争につながる恐れがある。…かえって衝突の危険を高めることにつながりかねない。無益であるばかりでなく、むしろ有害なことではないか」(岩屋毅・元防衛相、「東京」3日付)との指摘が上がっていました。

 同党の公約は、「防衛力の抜本的強化」の理由の一つに「尖閣・台湾周辺等における軍事活動の活発化や力による一方的な現状変更を試みる中国」の存在を挙げます。

 台湾有事をめぐっては、沖縄など南西諸島を拠点にした米軍と自衛隊の新たな共同作戦計画が策定されていると報じられています。これが実行されれば、広大な米軍基地が集中し、自衛隊のミサイル部隊などの配備が進む沖縄が攻撃目標となり、住民が戦闘に巻き込まれることは必至です。日本が敵基地攻撃能力を本格的に保有し、集団的自衛権の行使を認めた安保法制に基づいて自衛隊が米軍の攻撃に加われば、一層大きな戦火を呼び込むことになります。

 日本維新の会も、「防衛費のGDP比2%への増額」や「専守防衛」の見直しをはじめ、敵基地攻撃兵器である「中距離ミサイル」の保有などを公約しています。国民民主党も、「打撃力(反撃力)」を整備するため「必要な防衛費を増額」すると主張しています。公明党は、「防衛力を着実に整備・強化」し、「日米同盟の抑止力・対処力の一層の向上を図る」としています。

県民の思いと相いれない

 自民・公明政権が、名護市辺野古で米軍新基地建設を強行し、沖縄戦犠牲者の遺骨が眠る本島南部の土砂を埋め立て工事に使おうとしていることも重大です。戦没者への冒涜(ぼうとく)は許されません。

 沖縄県の玉城デニー知事は本土復帰50年に当たっての建議書で、沖縄の軍事強化の動きや敵基地攻撃能力保有の議論を「悲惨な沖縄戦を経験した県民の平和を希求する思いとは全く相いれるものではない」と批判しています。「沖縄戦の悲劇を再び繰り返すな」の意思を参院選で示すことが必要です。


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