2022年6月21日(火)
自公維国が軍事費2倍化で狙う
暮らし削る大軍拡計画
ロシアのウクライナ侵略を悪用し、自民、公明、維新、国民の各党が競い合う軍事費11兆円規模への大軍拡。その狙いが武器・弾薬の大量購入であることが浮き彫りになりました。財源は、消費税などの大増税か、社会保障費などの大幅削減にならざるをえません。物価高騰のなか、参院選で、暮らしを削って大軍拡を進める勢力への審判が求められます。
自民 |
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●F35戦闘機(最終的に147機) |
=総額6兆~7兆円 |
●スタンドオフ・ミサイル(12式地対艦誘導弾・能力向上型など) |
●新型護衛艦・哨戒艦 |
●総合ミサイル防衛(既に2.8兆円計上) |
●イージス・システム搭載艦(2隻) |
=総額1兆円以上 |
●国内軍需企業の支援 |
●軍事研究の拡充 |
●宇宙軍拡 |
(情報収集衛星、衛星コンステレーションなど) |
維新、国民 |
●原子力潜水艦の保有 |
(建造費・1隻数千億円~1兆円規模) |
自民・維新は既に現在の軍事費5・4兆円の2倍化=「国内総生産(GDP)比2%」を公約していますが、少子高齢化の下、自衛隊員の増員は容易ではありません。そこで、自民の参院選政策「Jファイル」は、「優れた正面装備品(艦艇、航空機)の数量を確保する」などとして、大軍拡計画を示しています(表)。同党の高市早苗政調会長は19日のNHK「日曜討論」で、「こうしたものを積み上げていけば(GDP比)2%を目指すというメッセージになる」と述べ、その金額は「おおむね10兆円」と明言しました。
目につくのが米国製の高額兵器です。政府は2024年度から、「いずも」型護衛艦への搭載=空母化を狙ってF35Bステルス戦闘機の配備を狙っています。今年度予算では1機あたり約130億円ですが、円安が続けばさらに高騰します。
「イージス・システム搭載艦」2隻も重大です。破綻した地上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の後継ですが、事実上、同システムのレーダーを受注していた米軍需企業を救済するためのもの。維持費を含めれば2隻で1兆円を超えます。
これらは自衛隊史上、最も高額な兵器システムとされており、いずれも安倍晋三元首相が米国から“爆買い”を約束したものです。
また、「継戦能力」=戦闘を継続する能力の確保と称して「弾薬の整備」などをあげていますが、敵基地攻撃能力に直結する巡航ミサイルなどは1発1億~2億円以上にもなるとみられます。安保法制を発動すれば、「台湾有事」などで米軍への弾薬の大量提供も可能になり、事実上、米軍の戦費肩代わりにつながる危険もあります。
さらに、維新や国民は原子力潜水艦の保有(米国からの輸入)を主張。米海軍の最新鋭原潜は建造費だけで1隻1兆円にもなります。
財源 増税か福祉削減
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自民党は参院選に向け、軍事費を5年以内に「国内総生産(GDP)比2倍」以上、つまり現在の約5・4兆円を11兆円以上に引き上げることを公約しています。そうであれば財源を示す必要がありますが、岸田文雄首相はいまだに財源を示さない無責任な姿勢を続けています。
国債発行?
一方、安倍晋三元首相らは「国債発行」に言及しています。しかし、戦費の86%を公債で賄い、破滅的な戦争に突き進んだ戦前の反省を踏まえ、戦後の財政法は国債発行を禁じています。自民党政権は同法の抜け穴を利用して赤字国債発行に突き進み、日本は主要国で最悪レベルの借金大国になりましたが、軍事費を国債で賄ったことはありません。「軍事国債」発行は戦前への逆戻りです。また、国債は償還・利払いが不可避であり、将来の増税をもたらす要因となります。
消費増税?
増税で軍事費を賄う場合、仮に消費税を増税すればどうなるか。現在、消費税1%あたりの税収はおおむね2・6兆円とされており、最低でも2%分、つまり現在の10%から12%以上への引き上げが必要になります。世界的な物価高騰のなか、90の国・地域で減税が行われていますが、これと真逆の道に進むことになります。
社会保障を切り捨て?
社会保障費を削減した場合、どうなるか。たとえば、公的年金の国庫支出分は半分近くが失われ、結果として約4千万人の年金受給者(公的年金の実受給権者)は1人あたり年間12万円以上削られます。医療費の場合、現役世代の3割自己負担が6割まで拡大し、医療崩壊を招きます。