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2022年6月20日(月)

参院選公示直前 党首討論 争点鮮明に

ネット番組 志位委員長の発言

 日本共産党の志位和夫委員長は18日夜、インターネット番組「参院選2022ネット党首討論」に出演し、参院選の争点・政策について討論しました。司会は政治学者の三浦瑠麗氏。

物価高対策

消費税減税、最低賃金1500円、年金削減ストップ、教育無償化進める

 番組側からは最初、「原油や原材料価格がウクライナ情勢や円安の影響で高騰を続ける中、どのような物価高対策をお考えでしょうか。また、国民の所得を増やす方策や金融所得課税のあり方についても教えてください」との質問が出されました。

 岸田文雄首相は、高騰しているのはエネルギーと食品だとして「2点に特化した対策を用意」したと述べるとともに、賃上げ税制を進めると語りました。立憲民主党の泉健太代表は消費税の時限的減税、日本維新の会の松井一郎代表は原発再稼働による電力料金の値下げ、国民民主党の玉木雄一郎代表は原発再稼働や10万円の一律給付、消費税減税を掲げました。志位氏は、消費税減税と賃上げ策などについて次のように語りました。

 志位 最も効果的な物価対策は、消費税を5%に減税することです。すでに世界89の国と地域で実施されており、日本ができない理由はありません。

 そして、政治の責任で賃金を上げる。私たちは、大企業の内部留保に時限的な課税を行って、10兆円の税収を使って、最低賃金を(時給)1500円に引き上げるための中小企業支援にあてる。こういう提案をしております。

 年金削減はストップする。学費は半分にし、入学金は廃止し、教育無償化に踏み出したいと考えます。

最低賃金

志位「政府の最賃引上げ目標(時給1000円)が低すぎるとの認識があるか。時給1500円をめざすべき」

岸田「急激な引き上げについてはいろいろと考えていかなければならない」

 続いて、物価高や賃上げの対策をめぐり、各党首間で互いに質問するクロストークに。志位氏は岸田首相に次のように質問しました。

 志位 岸田さんに最低賃金の引き上げ目標について聞きたいと思います。

 岸田さんは(公約などで)早急に時給1000円まで引き上げるといわれますけれど、1000円では手取り15万(円)にも達しません。「これでは貯金もできない」という若い皆さんの声をたくさん聞きます。

 すでにイギリスもフランスも1500円を超え、ドイツは10月から1600円超に引き上げられます。アメリカ、バイデン大統領は15ドル、約2000円への引き上げを呼びかけています。

 わが党が求めている時給1500円なら、1日8時間働いて、週休2日で、手取り20万が実現できます。

 そこで聞きたいのですが、この1000円という目標は、世界の流れに照らしてあまりに低すぎると考えますが、そういう認識はありますか。

 これに対して岸田首相は、最低賃金の引き上げ目標が低すぎるかどうかについては答えず、「最低賃金は、地方によって、あるいは中小企業・零細企業によって、事情はさまざまで、この急激な引き上げということについてはいろいろと考えていかなければならない」と、大幅な引き上げに消極的な姿勢を示しました。

外交・安全保障

「軍事対軍事」でなく、東アジアに平和をつくる9条を生かした外交を

 番組側からは次に、外交・安全保障をめぐって「ロシア、中国、北朝鮮に近接する安全保障環境が厳しさを増す中、現状の防衛力で国民の命を守れるとお考えでしょうか。また、脅威に備えるため日本がとるべき方策を教えてください」との質問が出されました。志位氏はまず次のように表明しました。

 志位 いま「軍事費2倍」の大合唱が起こっていますが、軍拡で平和が守れるでしょうか。日本が軍拡で構えれば、相手も軍拡を加速させることになります。「軍事対軍事」の悪循環が起こってしまいます。

 「軍事費2倍」といいますが、財源はどうするつもりでしょうか。消費税の大増税か、社会保障の削減か、暮らしが押しつぶされてしまいます。

 「軍事対軍事」ではなくて、東アジアに平和をつくる9条を生かした外交こそ必要だと、私たちはそのための具体的な「外交ビジョン」を提唱しています。

 玉木、松井、岸田の3氏に加え公明党の山口那津男代表はそろって、軍備の拡大と日米同盟の強化を主張しました。玉木氏は「反撃力を高める」とし、「原子力潜水艦の保有の検討」を主張。松井氏は「タブーない議論」をと軍備強化をあおりました。立民の泉代表も、防衛力を整備し「核の傘」を生かして「防衛体制を着実に整えていく」と発言しました。

敵基地攻撃

志位「『日本を守る』のでなく、日本に戦火を呼び込むことになるのではないか」

岸田「(答えられず)憲法と国際法の範囲内で考えていく」

 続いてクロストークに移ると、松井氏が9条改憲について岸田首相に「スケジュールを示さないと改憲論議が進まない」と迫り、岸田氏は「国会での議論が重要だが、できるだけ時間をかけずに国民に選択していただく機会をつくる」と応じました。玉木氏は、改憲論議の中で、自衛隊の違憲性の解消だけでなく「自衛権の範囲」について突っ込んだ議論が必要だと発言し、松井氏は「積極防衛に切り替えていく」などと「専守防衛」を投げ捨てることを公言しました。

 ここで司会の三浦氏が「(自衛隊)違憲という話でいくと日本共産党の立場はほかの党と違います。9条に関していかがでしょうか」と志位氏に問いかけました。志位氏は「敵基地攻撃能力」の保有の危険について岸田首相に質問しました。

 志位 私たちは、9条を生かした平和外交によるアジアと世界の平和への貢献ということを一貫して言っています。

 岸田さんに伺いたいのですが、岸田政権は、「敵基地攻撃」は集団的自衛権の行使のさいにもできるという答弁書を決定しています。

 そうなりますと、日本が攻撃されていないのに、米軍が海外で武力の行使をはじめたら、安保法制=集団的自衛権を発動して、自衛隊が「敵基地攻撃」で相手国に攻めこむことも可能になります。当然、相手国からの報復を招きます。つまり「日本を守る」という話ではなくて、日本に戦火を呼び込むことになるのではないか。

 日本が攻撃されていないのに、他国の領土を攻撃できることになれば、「専守防衛」の原則を根底から覆すことになるのではないか。はっきり答えていただきたい。

 岸田首相は、志位氏の質問には全く答えられず、「あくまでも憲法の範囲内、あるいは国連憲章をはじめとする国際法の範囲内、また日米の基本的な役割分担の範囲内、この中で考える。専守防衛をはじめとする憲法の基本的な考え方、これも引き続き大事にしていきたい」などとごまかしました。

憲法9条改定

憲法に「自衛隊」を明記すれば、海外派兵への制約がなくなってしまう

 9条改憲について各党から意見が続く中で、志位氏は岸田首相に次のように問いただしました。

 志位 9条の問題がずいぶん議論になっているんですが、私は岸田さんに聞きたいと思います。9条2項の後に「自衛隊」を明記したらどうなるのかということです。

 後につくった法律が前につくった法律より強いというのは、法律の基本的な問題です。ですから、9条の2項「陸海空軍その他の戦力は保持しない」が空文化されるのではないか。

 そうするとどうなるのか。私は、(2015年の)安保法制の議論を思い出すんですが、あの時に、(政府は)安保法制のもとでも「武力行使を目的にした海外派兵はできません」と何度も答弁しました。「フルスペック――全面的な集団的自衛権の行使はできません」と、こう答弁しました。この制約が外れてしまうのではないか。

 9条の2項の後に「自衛隊」を明記したとたんに、二つの制約が外れてしまうのではないかと(思いますが)、どうでしょうか。

質問に答えず、日本共産党の立場を利用して改憲の旗を振るのはやめよ

 ここで司会の三浦氏は、岸田首相ではなく、維新の松井氏に回答を求めました。

 松井氏は、自衛隊の憲法明記によって9条2項が空文化するのではないかとの問いには全く答えられずに、自衛隊は多くの人が認めているのに「志位さんたちは違憲だと言っている。国政政党であり、大勢の地方の政治家も抱える政党が認めていない。だから憲法に明記するべきだ」などと主張しました。

 この発言に対して、志位氏は討論の最後に次のように厳しく批判しました。

 志位 私たち日本共産党は、自衛隊については9条と矛盾すると考えておりますけれど、日本共産党の立場を利用して改憲を進めるのはやめてほしい。私の質問に答えないで、私たちの立場を利用して改憲の旗を振るのはやめていただきたい。

若者政策

学費半減・入学金廃止・無償化めざす シフトで働く若者の労働条件改善を

 最後に「各党の若者政策について教えてください」との質問が出されました。志位氏は次のように答えました。

 志位 「学費が重すぎて進学をあきらめた」という声をたくさん聞きます。

 大学・専門学校の学費を半額にし、無償を目指します。世界で日本にしかない非合理な制度である入学金は廃止する。それから「自宅4万円、自宅外8万円」の給付奨学金を75万人が利用できる制度をつくり、拡充していきます。それから全ての奨学金は無利子にします。お金の心配なく学べる社会にしていきたいと思います。

 それからもう一点、シフトで働く皆さんから「あまりにも不安定」だという声が寄せられます。ヨーロッパのEU指令を参考に、新しい法的規制を行って、条件改善に取り組みます。

 シフト変更の際には事前告知を義務付けること。

 突然のシフト変更やそれを拒否したことによる不利益を禁止すること。

 「勤務日数ゼロ」「労働時間ゼロ」という横暴を無くすために、最低限の労働日数と賃金支払いを保障すること。

 こういう改善をやっていきたいと思います。


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