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2022年6月18日(土)

TBS「news23」党首討論

志位委員長の発言

 日本共産党の志位和夫委員長は16日夜、TBS番組「news23」で行われた党首討論に出演し、参院選の争点となっている物価高騰のもとでの国民生活の問題とウクライナ危機に乗じた大軍拡の問題について各党代表と討論しました。志位委員長の発言を紹介します。

賃金をどうやって上げるか

大企業の内部留保課税の提案――「一石三鳥」の政策効果がある

 番組では冒頭に、司会の小川彩佳キャスターが、日本では物価高騰が国民生活を圧迫する一方で、2000年以降の年収ベースの平均賃金が横ばいになっていると指摘。なぜ賃金は上がらないのか。賃金を上げていく具体的政策が議論になりました。岸田文雄首相は「状況に応じて政府としても賃上げに向けての政策を動員していきたい」と述べるだけで、賃上げの具体策を語りませんでした。日本維新の会の松井一郎代表は「規制を緩和して、新しいビジネスチャンスをつくっていこう」と労働法制の規制緩和を主張。これに対し、志位氏は抜本的対案を提起しました。

 志位 日本共産党は、大企業の内部留保に課税をして賃上げを促進しようという提案をしております。

 アベノミクスの8年間で、大企業の内部留保は130兆円も増えまして、466兆円まで積み上がっています。40兆円もの行き過ぎた法人税減税をやった結果です。

 その一部を返してもらう。具体的には(内部留保の)アベノミクスで増えた分に、毎年2%、2兆円、5年間で10兆円の課税をする。

 これは「一石三鳥」になります。

 一つは、大企業減税の不公平をただす。

 二つ目に、課税のさいには控除をもうけて、「賃上げ」と「グリーン投資」を促進する。

 そして三つ目に、税収が10兆円出てきます。これを使って最低賃金を時給1500円に引き上げるための中小企業支援にあてる。

 「一石三鳥」です。ぜひやりたいと思います。

物価高騰から暮らしをどう守る

「異次元の金融緩和」の見直し、消費税5%への減税、年金削減ストップを

 次いでテーマになったのは、アベノミクスの評価と物価高騰に苦しむ国民への支援策です。岸田首相は、「財政出動、金融政策、そして成長戦略。このマクロ政策は維持したい」とアベノミクスの「3本の矢」の踏襲を表明しました。公明党の山口那津男代表は「安倍政権のもとで、成長と分配の好循環と言い始めたところで、このコロナに見舞われました。今円安が加速している」と述べただけで無反省な姿勢を示しました。維新の松井代表は、物価高騰対策として「電気料金を抑えるために動かせる安全な原発を動かすべきということを岸田総理にも提案してきました」などと述べました。志位氏は、物価高騰の原因となっている金融緩和の見直しとともに、消費税減税、年金削減中止などの緊急策の必要性を訴えました。

 志位 先ほど、岸田さんが、アベノミクスの「3本の矢」は続けるとおっしゃった。しかし、アベノミクスの「異次元の金融緩和」をやってきた結果、異常円安になり、物価の高騰になってるわけです。ですからこれは見直しが必要です。これが一つ目です。

 それから二つ目に、アベノミクスでやったことというのは消費税の大増税です。10%にあげた。これが家計と経済を弱くしてしまったわけですから、5%に緊急に減税する。そして、インボイスは中止する。これ(消費税・付加価値税の減税)は世界の89の国と地域ですでにやっているわけですから、日本ができない道理はない。

 もう一つ、言っておきたいのは、年金削減はやめるということです。6月15日の(年金支給の)通知が来て、怒りが広がっています。0・4%カットする。物価が上昇したら年金を上げるのが当たり前なのに、物価高騰のさなかに年金を下げる。これは本当に間違った政治で、2016年に安倍政権がつくった仕掛けなんです。この年金削減の仕掛けをやめる、そして底上げをはかることを強く求めたい。

大軍拡の財源どうする

消費税増税か、社会保障削減か――“白紙委任”というわけにはいかない

 最後のテーマは、外交・安全保障の問題です。ロシアのウクライナ危機に乗じて、岸田政権が大軍拡をすすめようとしていることが議論になりました。

 日米首脳会談で、岸田首相がバイデン米大統領に対して、軍事費の「相当な増額」の約束をしたことについて、「『相当な増額』とはどの程度か」と質問された岸田首相は「具体的な数字を言ったのではない」などと弁明。コメンテーターの星浩氏が、財源として考えられるのは「国債を出すか、社会保障などの経費を節約するか、増税をするか三つしかない。財源の腹づもりもなしに『相当な増額』といったら無責任ではないか」と指摘したのに対し、「具体的な数字について申し上げることは差し控える」と繰り返しました。

 山口氏は「国民の不安を招かないように安心感を示せるように、しっかり防衛の内容を見直していく。自主的な強化を図る」と軍拡を主張。松井氏は「GDP(国内総生産)比2%の基準の中で防衛費枠はしっかり検討して決めていくべき」と軍拡を主張しました。さらに松井氏は、ロシアがウクライナに、核で脅しをかけているとして「核という、抑止力を持つべきだ」と主張しました。

 志位 いま、ロシアの暴挙に乗じる形で、「敵基地攻撃能力保有」、「軍事費2倍」、「核共有」、「憲法9条を変えろ」という大合唱が起こっていますけれども、私は、軍事一辺倒で平和をつくれるのかと問いたいと思います。

 日本が軍拡で構えれば、相手も軍拡を加速する。「軍事対軍事」の悪循環に陥ってしまいます。

 そして、財源をどうするのか。先ほども議論になりました。自民党の公約を拝見すると、「GDP比目標2%以上も念頭に5年以内に防衛力の抜本的強化」とちゃんと数字が入っています。それから高市早苗政調会長は先日の(民放の)番組で、積み上げていけば10兆円規模になると、はっきりおっしゃっています。「2%」「10兆円」と数字を言っています。岸田さんの言われるように、数字が決まってないというわけではない。

 結局、消費税で賄うとしたら、(税率)2%以上の増税です。社会保障で賄おうとしたら、例えば、医療費の窓口負担を倍にしなければならない。現役世代だったら3割負担を6割負担しなければならない。そういうことになるわけです。

 財源のことは言いません、数字ははっきりさせません、あとは“白紙委任”してくださいとはいかないんです。きちんと国民に明らかにして、審判をあおがなくてはいけないと強く言いたいと思います。


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