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2022年6月16日(木)

こども関連法案に対する田村議員の反対討論(要旨)

参院本会議

 日本共産党の田村智子議員が15日の参院本会議で行った、こども家庭庁設置法案、こども基本法案に対する反対討論の要旨は次の通りです。


 第一に、岸田政権は「こどもまんなか社会の実現」といいながら、子どもの権利条約と国連子どもの権利委員会の勧告に真摯(しんし)に向き合わず、これまでの施策の検証や反省が示されていないことです。

 G7(主要7カ国)諸国の中最悪の自殺率、いじめ、不登校の実態など、日本の子どもの深刻な現状への分析的な認識は何一つ示されませんでした。とくに、学校教育について、悉皆(しっかい)調査の全国学力テストが平均点競争をあおり、子どもの自己肯定感を損ねていますが岸田文雄首相は、全国学力テストも「子どもの最善の利益を第一として行っている」という認識まで示しました。

 こども家庭庁の任務には、権利条約の4原則(子どもの生命・発達に関する権利、最善の利益、意見の表明・尊重、差別禁止)が不十分ながら盛り込まれましたが4原則に照らして分析・評価、改革されなければ何のための設置かと問われます。

 第二に、子ども施策の予算がいつ、どれだけ増えるか具体的に示されなかったことです。こども家庭庁を設置し、必要な施策を議論したうえで体系的にとりまとめ、費用負担を社会全体で議論するといいます。一方、「骨太の方針2022」では、5年以内に「防衛力の抜本的な強化」を掲げ、「NATO(北大西洋条約機構)諸国では、国防予算を対GDP(国内総生産)比2%以上とする基準」という文言を盛り込み、自民党も提言する対GDP比2%は、5兆円以上の増額です。内閣府所管の子どもに関する支援約3・8兆円を上回る防衛予算・軍事費の増大に踏み出せば、子ども施策の予算倍増など望めません。大軍拡はやめるべきです。

 第三に、「家庭」という文言を入れ、子育ての自己責任、家庭責任を求めかねないということです。児童扶養手当は所得制限が強化され、高すぎる学費はすべての家庭と子どもへの重い負担となっています。自己責任の政治を改め、子育ての家庭の荷を軽くすることこそ求められます。また、政府から独立した子どもの権利擁護機関、「子どもコミッショナー」が制度化されなかったことも重大です。

 こども基本法案についても、理念に「家庭を基本」とあり、子どものプライバシー権を脇におき、情報通信技術を用いた子どもの情報の利活用を掲げていることなどから賛成できません。


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