しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2022年6月15日(水)

化学工場検査 事業者任せに

高圧ガス保安法等改定案可決

参院委・岩渕氏反対

違反を恣意的判断

写真

(写真)質問する岩渕友議員=14日、参院経産委

 高圧ガス保安法等改定案が14日の参院経済産業委員会で、日本共産党以外の賛成多数で可決されました。改定案は電気、都市ガス、高圧ガスの保安検査などの規制を緩和し、今以上に事業者任せを進めるものです。

 改定案をめぐっては日本共産党の岩渕友議員の指摘で立法事実の前提となった法令違反の根拠データや政府答弁に誤りが発覚し、審議が1カ月近く中断。萩生田光一経産相が14日の委員会冒頭で、岩渕氏への答弁の誤りを訂正し、謝罪。省を挙げての再発防止策を発表する異例の事態です。

 岩渕氏は質疑で、データが恣意(しい)的にゆがめられた疑念は払拭(ふっしょく)できないと追及。改定案の審議で、萩生田経産相が同法に基づく過去10年間の重大事故44件のうち認定事業所が6件、非認定事業所が38件だとした資料を示し「認定事業所の方が事故発生頻度が少ない」と答弁したことを取り上げました。

 岩渕氏は、認定事業制度は石油精製など巨大企業を対象としたものなのに、非認定事業所の中に飲食店の料理教室の事故なども入っていると指摘。「個人の事故も入ったデータで、認定事業所の方が事故が少ないというのは事実のねじ曲げだ」と迫りましたが、萩生田経産相は「小さく見せようという意図はない」などと述べるだけでした。

 岩渕氏は、事故当時に法令違反が発表されたのに、経産省が「極めて軽微」だとして法令違反に含めなかった事案もあると指摘、同省の恣意的な基準で判断していると批判。このままの採決は認められないと主張しました。

重大な誤り次々発覚

国民の命と安全ないがしろ

 高圧ガス保安法等改定案の採決が14日の参院経済産業委員会で強行されました。改定案は、石油コンビナートなど化学工場の保安検査の規制を緩和して事業者任せにし、国民の命と安全をないがしろにするものです。日本共産党の岩渕友議員の追及で改定案の政府根拠データに重大な誤りが次々と明らかになり、審議が中断したままになっていました。

 岩渕氏が5月19日の同委員会で明らかにしたのは、同法に基づく「直近10年で累計24件」の違反件数が、実際には400件超に上ったことや、死亡事故を違反として数えていなかった問題です。質問の翌日、委員会の運営に携わる各会派議員の懇談会が開かれ、経産省が“訂正した”とする資料が配布され、前日の岩渕氏への政府答弁の誤りが新たに判明しました。さらに27日には、法案策定を議論していた経産相の諮問機関・産業構造審議会の分科会が開き直され、同法に基づく重大事故を示したグラフにさらなる誤りが判明する異例の事態となりました。

 萩生田光一経産相は採決当日の6月14日の委員会の冒頭で、岩渕氏への答弁の誤りを訂正して謝罪し、経産省全体での再発防止策への取り組みを発表したものの、規制緩和を進めようとする経産省のデータの信頼性は根底から崩れています。

 岩渕氏は反対討論で、事業者への自主保安がいっそう丸投げされ、事前調査や自主検査義務の除外などで公的監視、監督を後退させると指摘。「検証データが恣意的に狭められ、ゆがめられた疑念を払拭できず、このままでは到底納得できない」と批判。「事業者任せの認定事業者制度による自主保安と公的規制の在り方を立ち止まって真摯(しんし)に検証、総括すべきだ」と求めました。


pageup