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2022年6月14日(火)

TAC 紛争防ぐ核心

シンガポール国防相 「専制VS民主」論調を否定

 【ハノイ=面川誠】シンガポールのウン・エンヘン国防相は12日、同国で開かれたアジア安全保障会議(通称シャングリラ会合)で、武力行使を否定する東南アジア友好協力条約(TAC)をアジアで紛争防止の「核心的な法律文書」にするよう呼び掛けました。そのために東南アジア諸国連合(ASEAN)主導の枠組みを強化し、包摂性と多国間主義に基づいて信頼を醸成すべきだと強調しました。

 ウン氏はロシアによるウクライナ侵略後、軍事同盟が強化され、各国の軍事費が増えていると述べ、「われわれは以前より危険な世界に置かれている」と警告。アジアも紛争要因を抱えているとして、東シナ海、南シナ海、朝鮮半島などを挙げました。

 同氏はウクライナ侵略や米中対立を専制国家と民主国家の争いだとする論調を念頭に、「これらは専制国家と民主国家のイデオロギー闘争ではない」と指摘。国際的な規範と外交関係の核心的な原則の順守、他国の主権と領土保全の尊重こそが問題の中心だと述べました。

 そのためにはTACがASEANと対話パートナーにとって「核心的な法律文書」だと強調。「ウクライナのような悲惨な事態を避けたければ、すべてのアジアの国々のために、われわれは言行を一致させなければならない」として、TACを国際政治で実現するために既存のASEAN主導の枠組みを強化し、相互信頼を醸成するとともに、包摂性と多国間主義を重視すべきだと呼び掛けました。

 1976年にASEAN加入国が締結したTACは例外なしの「武力による威嚇または武力の行使の放棄」を明記。ASEANとの関係強化を望む域外国も加入でき、日本、米国、中国、ロシア、インド、北朝鮮なども加入しています。


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