2022年6月12日(日)
きょうの潮流
色鮮やかな風物詩。各地のあじさいまつりが人びとを和ませています。藍や紅に染まり、しっとりとぬれた姿が目に染みてきます。〈紫陽花(あじさい)の雨に重さを持ちはじむ〉嶋田一歩▼入梅の季節です。梅雨の語源はいくつかあり、梅の実が熟するころの雨や、カビが生えやすい時期にちなむ「黴雨(ばいう)」が変化したという説。雨で露がつくことや、今ごろ栗の花が咲き散り墜栗花(ついり)や栗花落(つゆり)と呼ばれたことからとも▼梅雨は恵みの雨ともいわれますが、本格的な雨期に入り、大雨への警戒も研ぎ澄ませたい。たとえば、自宅や職場の周辺ではどんな備えが必要か。ハザードマップなどで確認し、避難路や避難所についてもあらかじめ知っておくことが大切です▼これまでの被害をみると情報の伝達や避難の判断が問題となってきました。気象庁は今月、集中的な豪雨をもたらす線状降水帯の予測を開始。早めの避難につなげるため、大まかな地域を対象に半日前から提供するとしています▼いまや多くの人命を危険にさらす大雨。「国民の命を守る」というならば、その対策に全力を注ぐことこそ国の果たすべき役割ではないか。災害への備えや対応、地域や自治体の支援、被災した人たちのケア…。大軍拡にのぼせあがっている場合ではありません▼本州の梅雨明けは来月の中ごろ。あとには厳しい暑さが控えているといいます。内憂外患はつづくのか。そういえば、あじさいの花言葉のなかには「辛抱強さ」も。希望の色に染まった季節がくることを信じて。








