2022年6月12日(日)
主張
初の締約国会議
被爆国の姿勢 厳しく問われる
2021年1月に発効した核兵器禁止条約の初めての締約国会議が21日から3日間、オーストリアのウィーンで開催されます。会議には61の締約国とともに、全ての国連加盟国が招請されています。各国の国会議員や反核団体など市民社会の代表も正式構成員として参加します。ロシアによるウクライナ侵略が続くなか、禁止条約を力に核戦争の危機をどう打開し、核軍縮を前進させるのか。世界の注目が集まっています。
非人道性にも焦点あてる
77年前、アメリカの広島・長崎への原爆投下という惨禍を体験した被爆者は、核兵器は「人間として認めることのできない絶対悪の兵器」(日本被団協「原爆被害者の基本要求」1984年)と、「非人道性」を告発し続けてきました。
締約国会議は、禁止条約を実現する原動力となった「核兵器の非人道性」に改めて焦点をあて、核使用を許さない国際世論を喚起しようとしています。開催国のオーストリア政府が、締約国会議前日の20日に「核兵器使用の人道的結末」について国際会議を行うのも、その強い意思の表れです。
禁止条約は、核兵器の使用とともに、それによる威嚇を禁じています(第1条)。保有国の核使用を抑える国際社会の結束したメッセージを発することが、締約国会議には強く期待されています。
プーチン政権が自国の犠牲も世界の破滅もいとわず核威嚇をしています。これは核兵器の危険をなくすには、核兵器を全廃する以外にないことを示しています。
禁止条約は、核兵器を違法化して禁止するとともに、核保有国も含めた廃絶の手順を定めています(第4条)。条約への支持と参加を広げていくことによって、条約そのものの権威と規範力が高まります。締約国会議では、こうした取り組みを市民社会と共同してどのように推進していくのかも重要な議題となります。
禁止条約は、被爆者や核実験被害者の援助やそのための国際協力を締約国に義務付けています(第6、7条)。これらの具体化も重要テーマです。被爆者や専門家をはじめ日本の市民社会の貢献も期待されています。
締約国会議には、北大西洋条約機構(NATO)加盟国のドイツやノルウェーなどもオブザーバーとして参加します。条約への立場は違っても、核兵器禁止・廃絶の世界的な流れは、無視できない現実となっています。唯一の戦争被爆国である日本政府が、アメリカの「核抑止力」=「核の傘」への依存を理由に参加しないならば、これほど恥ずべきことはありません。岸田文雄政権は少なくとも締約国会議にオブザーバー参加し、核兵器の非人道性、不使用、完全廃絶を訴えるべきです。
日本は禁止条約に参加を
核兵器の使用を前提にした「核抑止」で対抗することは、「ヒロシマ・ナガサキ」を体験した国として許されないばかりか、核破局の危険を高めるだけです。「核共有」という主張は、被爆国の政党、政治家としてあるまじきものです。
日本が、核兵器禁止条約に参加するならば、国際的な反核世論を広げ、核兵器の使用を抑える大きな力となるに違いありません。「核抑止」の立場から抜け出し、禁止条約に参加する政府を実現することが急がれます。








