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2022年6月10日(金)

自衛隊参戦「真剣に検討」 17年の北朝鮮危機時

青井学習院大学大学院教授が証言

河野統幕長(当時)の証人尋問要求

 原告約200人の「安保法制違憲前橋訴訟」の控訴審の口頭弁論が9日、東京高裁(鹿子木康裁判長)であり、青井未帆学習院大学法科大学院教授は戦争法(安保法制)によって日本は戦後初めて自衛隊の戦争参加を「真剣に検討した事実がある」と証言しました。


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(写真)政府文書で明らかになった事実を記者会見で報告する安保法制違憲前橋訴訟の弁護団=9日、東京都千代田区

東京高裁

 青井氏は、2017年の北朝鮮危機の際の政府文書をもとに証言。「直面する危険性が現実化しているとはいえない」として原告の訴えを退けた前橋地裁判決に反証しました。

 原告側は、17年当時に自衛隊制服組トップの統合幕僚長だった河野克俊氏が退官後に講演で「軍事行動の可能性が6割はあるのではないかと思っていました」と述べたことを紹介。河野氏が当時、米軍の後方支援や、米軍への攻撃に自衛隊が反撃する事態を想定したことも指摘しました。

 青井氏は「(政府の)記録を読む限り、河野氏個人でなく組織的に想定したといえる。自衛隊内部にとどまらず、首相が議長の『国家安全保障会議』に出席し、そこで(安倍晋三元首相らに)報告したと推測できる」とのべました。

 全国の安保法制違憲訴訟で、裁判所はこれまで戦争法が違憲かどうかの判断をしていません。青井氏は「憲法違反の事実が積み上がっている。三権分立を機能させるためにも憲法判断をすべきだ」と強調しました。

 原告団の大塚武一弁護団長は、河野前統幕長の証人尋問を改めて求めました。

“いつ戦争でもおかしくない”

原告側会見 従来の司法判断を打開

 安保法制違憲前橋訴訟の控訴審口頭弁論終了後に原告側の弁護団が記者会見を開きました。大塚武一弁護士は「安保法制の発動が国家安全保障会議の議論にかけられたことが事実であれば、今後いつ戦争が起きてもおかしくないということではないか」と述べ、「危険性が現実化しているとはいえない」とした従来の司法判断を打開する展望が出てきたと強調しました。

 下山順弁護士は「戦争に直面する具体的な危機感が防衛省統合幕僚長や国家安全保障会議などで共有されていたとすれば、(国民が)平穏に生活する権利が侵害される現実的な危険性があったと言える」と述べました。

 弁護団は、河野克俊前統合幕僚長を高裁が証人として採用するかどうかが焦点になるとの見通しを示しました。


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