2022年6月10日(金)
国連総会 北朝鮮で拒否権行使の中・ロ説明
各国発言“安保理は行動を”
【ワシントン=遠藤誠二】国連総会は8日、安全保障理事会で先月26日、中国とロシアが「拒否権」を行使して北朝鮮への制裁を強化する決議案を否決したことについて、両国から説明を受ける会合を開きました。両国とも、制裁強化は状況を悪化させるだけだと主張しました。
会合は、安保理で5常任理事国が「拒否権」を乱用するのを防ぐため、4月に総会が採択した決議に基づくもので、初めて開かれました。
中国は「緊張を高める行為は避けるべきだ」「原則なく決議を採択することは安保理として無責任であり、深刻な結果を招く」と発言。「北朝鮮に対して、特定の分野で制裁を緩和することや、(韓国との)合同軍事演習を終わらせるなど米国には多くのことができる」と米国をけん制しました。
ロシアは制裁強化が「問題の解決とはならず、行き詰まらせるだけだ」「この問題に取り組む誰もが、制裁によって北朝鮮が無条件に武装放棄すると期待することは無駄だと理解している」と語りました。
米国は「中国、ロシアによる拒否権行使は、北朝鮮に(ミサイル実験などへ)暗黙の了承を与えたことになる」として、北朝鮮がその後8回、弾道ミサイルを発射したと主張。「中ロが制限なく(北朝鮮に)連携することが、われわれの集団的な利益を超えるものにならないよう望む」と述べました。
各国代表は、北朝鮮による相次ぐミサイル実験を批判する一方、「安保理が行動しなければ、北朝鮮の不法なふるまいが日常化する危険がある」(豪州)、「安保理は沈黙してはいけない。核保有国は特に、核不拡散について責任がある」(スイス)、「拒否権は軽率に使われるべきでない」(シンガポール)などの意見を表明しました。








