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2022年6月9日(木)

EU 最賃公正化ルール

今月中に正式発効へ

 欧州連合(EU)の欧州理事会と欧州議会は7日、加盟27カ国で公正な最低賃金が定められることを保障する法的文書(指令)案で暫定合意しました。欧州議会や各国政府の承認を経て、今月中に正式に発効する見込みです。

 フォンデアライエン欧州委員長はツイッターに、「新しいルールは、仕事の尊厳を守り、労働に対価が支払われることを保障するだろう」と投稿。シュミット欧州委員(雇用・社会権)は「社会的欧州にとって良い日だ」と歓迎し、「多くの世帯が生計を維持するのに苦労している時期だけに、とりわけ重要だ」と述べました。

 欧州委員会は合意に関する発表文書で、「労働者が十分な賃金を得ることが、生活水準や労働条件を改善し、公正で強靱(きょうじん)な経済と社会を築くうえで不可欠だ」と指摘。「十分な最低賃金は、社会的公正を強め、持続的で包摂的な経済回復を支える」「生産性や競争力を高めることで、経済界や社会全般にも恩恵をもたらす」としています。

 指令案は、法定最低賃金を設定している国に対し、それが人間らしい生活水準を保障するのに十分な額であるかの評価を義務付けます。2~4年ごとに最低賃金を改定する明確な基準を決定し、労組などが参加する協議体を設置します。

 労使を代表する団体による労働協約でカバーされている労働者が8割を下回る諸国は、労働協約による賃金設定の拡大に向けて明確な日程表と具体的措置を策定しなければなりません。

 また最低賃金を履行するための制度の導入も各国に義務付けます。搾取的な下請けや請負、名ばかり「自営」、記録のない残業などを取り締まるために、監視体制や労働査察官の設置などが含まれます。

 EU27カ国のうち、21カ国が法定最低賃金制度を持ち、6カ国は労働協約による賃金設定を行っています。(伊藤寿庸)


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