2022年6月8日(水)
「長崎市幹部の性暴力」訴訟
市長 控訴を断念・謝罪
![]() (写真)控訴を断念すると表明する田上市長=7日、長崎市 |
長崎市の幹部職員による女性記者への性的暴行をめぐる裁判で、市に損害賠償を命じた長崎地裁判決(5月30日)を受け、長崎市の田上富久市長は7日、記者会見を開き、控訴を断念すると表明しました。
田上市長は、「(判決を)真摯(しんし)に受け入れる必要がある」とし、「今後、控訴して争い続けるより、市として反省し、必要な見直しを行い、原告にもこれからの活躍に向けて、未来のために歩みを進めていただくべきではないかと考え、控訴を行わないと決意した」と述べました。
さらに、「原告にお会いして、心から謝罪させていただきたい」と語り、自身の給与を一定期間減給することも明らかにしました。
裁判は、長崎市の当時の原爆被爆対策部長(故人)から取材中に性的暴行を受けた上、同市により虚偽の風説を流布され二次被害を受けたとして、女性記者が市に対し約7400万円の損害賠償と謝罪を求めていたもの。長崎地裁は「性暴力は部長の職務に関連した違法行為だった」と認め、市に対し約1975万円の支払いを命じていました。
さらに、部長と友人関係にあった市幹部職員らが、「男女の関係だった」など虚偽の風説を流布したと認定。市が二次被害の防止を怠ったのは注意義務違反だと判断し、国家賠償法上の責任があるとしました。
原告女性「歓迎」
控訴断念の報に接した原告の女性記者は、「地裁判決を受け入れた長崎市長の理性的な判断を歓迎する」と語りました。さらに「暴力を振るった責任が暴力を振るった側にあると社会に示されたことは、多くの暴力に苦しんだ経験を持つ方の励ましになる。平和を大切にする長崎市の判断は多くの人に届くと思う」とのべ、「二度とこういう(性暴力のような)ことを起こしてほしくない」としました。









