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2022年6月8日(水)

建材メーカーを一斉提訴

建設石綿訴訟 全国10地裁

「賠償・基金参加を」

 建設現場でアスベスト(石綿)を吸い込み、肺がんや中皮腫になったとして元建設作業員や遺族らが7日、東京、札幌、横浜、大阪、福岡など全国10地裁で一斉に損害賠償を求める訴訟を起こしました。原告は合計190人に上り、建材メーカーに求める賠償総額は最大約39億円となる見込みです。


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(写真)アスベスト建材メーカー提訴へ東京地裁に入る原告ら=7日、東京都千代田区

 建設アスベスト訴訟は昨年5月、最高裁が国と一部建材メーカーの責任を認定。裁判を起こしていない被害者にも最大1300万円の給付金を支給する給付金法が今年1月施行されました。しかし建材メーカーは和解による解決や給付金への拠出を拒否しています。今回の訴訟は、建材メーカーに賠償とともに救済基金への参加を求めて起こしたものです。

 東京地裁では都内など元労働者ら68人が、建材メーカー22社に計約15億7300万円の損害賠償を求める訴訟を起こしました。

 地裁前での集会で、中村隆幸・首都圏同訴訟統一本部長は、建材メーカーはアスベストの危険性を認識しながら自らの利益追求を最優先して警告表示を怠り、多くのアスベスト被害を発生させた責任は「国以上に重い」と強調。「原告、被害者、弁護団、支援団体がよりいっそうの団結を固め、建設アスベスト被害の全面解決に向け、ともに奮闘しよう」と呼びかけました。

 原告団は、建材メーカーに高度な安全性確保義務があったと主張。記者会見で、内装作業員で肺がんを発症したという原告の戸根山仁志さん(79)=東京都足立区=は「アスベストの危険性は聞かされておらず、今考えると恐ろしい。被害者の切実な声を発信したい」と訴えました。


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