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2022年6月7日(火)

主張

セクハラ疑惑

細田衆院議長の資格問われる

 細田博之衆院議長が自らのセクハラ疑惑で、立法府の長としての資格が厳しく問われています。複数の女性記者が被害に遭ったとされます。細田氏は「事実無根」として、疑惑を報じた『週刊文春』に抗議したものの、経過の説明には一切応じません。セクハラは女性の人権と尊厳を踏みにじる重大な行為です。細田氏は、国民と国会に説明する責任があります。絶対にあいまいにはできません。

女性の尊厳にかかわる

 セクハラ疑惑は『週刊文春』が5月26日号から6月9日号まで3週連続で告発しました。女性記者に深夜電話をかけ「今からこないか」などと言って呼び出したことなどが記されています。記者との懇談の際、私生活を詮索する言葉があったともいいます。

 女性記者だけでなく、自民党本部の女性職員をはじめ知人女性へのセクハラ言動も疑われています。細田氏は記者に圧力ともとれる電話をかけたとも伝えられています。同誌の取材によれば、複数の報道機関が細田氏のセクハラ被害について社内での調査を行いました。一連の報道は具体的で説得力があります。

 一方、細田氏は説明を抜きに否定コメントを出し、15日が会期末の通常国会が終わった後、「訴訟で事実を明らかにしていく」と主張しています。やり過ごそうという不誠実な姿勢です。

 セクハラは被害者が名乗り出ることや、具体的な内容を語ることには大きな壁があります。それを逆手にとって、情報を握る政治家や省庁幹部などから報道機関の女性が被害を受けるケースが少なくありません。2018年には安倍晋三政権下で財務省の事務次官によるセクハラが発覚し、次官は辞任に追い込まれました。

 細田氏は議長就任前から自民党最大派閥(現在の安倍派)の領袖(りょうしゅう)をつとめるなど政権の有力幹部を歴任してきました。細田氏のセクハラ疑惑は問題の根深さをうかがわせており、岸田文雄政権全体の体質にもかかわる問題です。

 JNNの世論調査(6日報道)では、細田氏による「国会での説明が必要」とする回答は59%でした。責任逃れは許されません。

 細田氏は昨年秋の就任後、議長にふさわしくない言動を続けています。小選挙区制を前提にした衆院定数是正の「10増10減」について、自ら率先して仕組みをつくったのに、自民党が不利になると分かってくると異論を唱え、批判を集めました。公正中立な議会運営をする責任がある議長の立場と相いれません。5月には、衆院議長が毎月もらう歳費は「100万円しかない」とも発言しました。家計のやりくりに日々苦しむ国民の感覚からかけ離れています。

人ごとではすまされない

 国会は「国権の最高機関」であり、衆院議長は三権の長の一人です。細田氏の一連の姿勢は、国会全体への国民の信頼を失墜させています。もはや議長職にとどまる資格はありません。

 岸田首相は「議長が適切に対応されると思っている」と人ごとです。細田議長不信任決議案には自民党も公明党も否決するとしています。事の重大性を認識できていないことは深刻です。自民党も含めた与野党で細田議長に説明を迫り、真相を明らかにしたうえで辞任を求めていくべきです。


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