2022年6月6日(月)
きょうの潮流
「すばらしいよ。あと15年は長生きしないと」。スポーツ界を牛耳る森喜朗元首相が、ある図面を前に、ほくそ笑む姿が目に浮かびます。2012年5月、東京都の幹部が明治神宮外苑の再開発計画を示したときのことです▼神宮球場と秩父宮ラグビー場を入れ替え、建て替える計画はその後、190メートル級の超高層ビル2棟、野球場のホテル併設などが加わる巨大再開発に。一方、100年を超えるイチョウ並木を含む約1千本の木々が伐採され、歴史的景観も壊される。都民に親しまれた草野球場などスポーツ施設も一気に失われます▼文化財保護を担う日本イコモス国内委員会は、樹木を守る試案を都に提出。つい先ごろまで計画を知らされずにいた住民の批判も沸騰しています。2日、8万を超えるネット署名が都に提出され、「オープンな協議の場を」と切なる声を上げました▼この計画、知れば知るほどそのむちゃくちゃぶりにあきれます。外苑は明治天皇没後、国民の寄付と勤労奉仕でつくられた公益性の高い資産。そこにゼネコンや総合商社のビルが建つ異常さ▼この地は自然景観を守る風致地区の日本第1号地域ながら、都は都市計画公園区域を外すなどお手盛りの規制緩和を施します。ビルの容積率を大幅アップさせ、事業者のもうけをお膳立てするためです▼ルール無視、住民不在、環境破壊に市民スポーツの圧殺…。こんな道理のかけらもない開発を許していいのか。都議会で唯一、追及してきた共産党と市民のたたかいは続きます。








