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2022年6月4日(土)

主張

天安門事件と中国

ますます深刻化する人権侵害

 民主化を求めた学生、市民を中国当局が武力弾圧した天安門事件から4日で33年です。中国国内では事件の隠蔽(いんぺい)と人権侵害が今日ますます深刻化しています。どんなに隠そうとしても弾圧の歴史を消すことはできません。

社会主義と無縁な暴挙

 北京の天安門広場に集まり非暴力で民主化を求めていた学生らに対し、1989年6月3日深夜から4日にかけて軍が突入して武力を行使し、広場とその周辺で多数の死傷者を出しました。社会主義・共産主義とまったく無縁な暴挙です。日本共産党はただちに「中国党・政府指導部の暴挙を断固糾弾する」との中央委員会声明を発表して抗議しました。

 中国共産党指導部・政府は当時から武力弾圧を正当化し続けています。昨年11月には中国共産党が中央委員会の全体会議(総会)で採択した「歴史決議」で「重大な政治的風波」から「社会主義の国家政権と人民の根本利益を守り抜いた」と規定しました。

 中国では天安門事件への批判も事実として報じることも禁じられています。特に「一国二制度」のもとで市民が事件を伝え続けてきた香港に弾圧が集中しています。追悼集会は2020年以降、香港政府によって禁止されています。禁止命令に従わず、集会に参加した市民は「許可のない集会への参加の罪」で次々に実刑判決を受け、獄につながれています。

 同年6月に「香港国家安全維持法」(国安法)が施行されてからは民主活動家の逮捕、民主化運動団体の解散が相次いでいます。

 天安門事件の追悼集会を主催してきた「香港市民愛国民主運動支援連合会」(支連会)は、幹部が「無許可集会への参加」で実刑判決を受け、昨年9月、解散に追い込まれました。事件に関する資料を展示してきた同会の記念館も休館せざるをえなくなりました。

 人権侵害は今の中国の大問題です。新疆ウイグル自治区でのウイグル人、ムスリム系住民に対する抑圧も世界で批判されています。18年には国連人種差別撤廃委員会が不当に拘束されたウイグル人の解放を中国政府に勧告しました。

 すべての人権と基本的自由を守り促進させることは、国連憲章に明記された普遍的なものです。今の国際社会で、どんな政治体制であっても国家が果たすべき義務となっています。

 中国政府は世界人権宣言、国際人権規約、ウィーン宣言などの国際的な人権取り決めに署名や支持をしています。国際社会の批判を「内政干渉」として拒否することは通用しません。

国際法上の義務果たせ

 中国は人権侵害をやめ、自ら認めた国際法上の義務を履行しなければなりません。

 言論による政府批判を武力や刑罰で抑えつけることは「共産党」の名に値しません。民主主義と自由をはじめ資本主義時代の価値ある成果を受け継ぎ、発展させるのが社会主義・共産主義の社会です。日本共産党は社会主義・共産主義の日本で「さまざまな思想・信条の自由、反対政党を含む政治活動の自由は厳格に保障される」ことを綱領で明確にしています。

 中国は天安門事件に対する批判を強権で禁じることをやめ、武力弾圧という歴史的誤りに向き合うべきです。


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