2022年6月3日(金)
あす天安門事件33年 香港では
追悼 自分のやり方で
民主派団体元幹部 圧力で記憶消せない
【北京=小林拓也】中国・北京で民主化運動を武力弾圧した天安門事件(1989年)から4日で33年になります。今年は、香港で事件の追悼集会を主催してきた民主派団体「香港市民愛国民主運動支援連合会」(支連会)が解散に追い込まれてから初めての記念日です。国家安全維持法(国安法)のもと、香港では追悼集会を開く動きすらありません。こうした中、支連会の元幹部2人が香港紙・明報で、香港市民に対し、自分のやり方で事件の犠牲者を追悼し、事件の記憶を継承しようと呼びかけました。
明報の取材に応じたのは、支連会元常務委員の梁錦威(りょう・きんい)(37)と趙恩来(ちょう・おんらい)(36)の両氏。2人とも、2020年の天安門事件追悼の際、無許可集会に参加したとして実刑判決を受け、刑期を終え出所したばかりです。
事件の追悼について、梁氏は「困難な中でも、香港市民は追悼を続けると信じている。自分もろうそくの灯をともして追悼を続ける」と表明。「政府は事件の追悼が国安法違反だとは言っていない。純粋な追悼に恐怖を感じる必要はない」と訴えました。
趙氏も「公開の集会は開けなくても、家や教会で追悼できる。自分も自分のやり方で追悼するつもりだ」と述べました。
事件の記憶継承について、梁氏は「事件の記憶は香港人の心に根付いており、政権の圧力で消えることはない」と強調。「年配の方は若い世代に記憶を伝えてほしい。香港人が忘れなければ、記憶は残り続ける」と呼びかけました。
趙氏は「事件を記憶することは違法にはならない」と指摘。香港の大学などから事件を記念する像などが撤去されていることに触れ、「モノを消せても、心を消すのは難しい。事件が適切に解決されなければ、香港人の心は変わらない」と強調しました。
台湾メディアなどによると、台湾のNGO「華人民主書院協会」は4日夜に台北市内で天安門事件追悼集会を開きます。その際、昨年12月に香港大学構内から撤去された事件を追悼する像「国恥の柱」を3Dプリンターで再現し、展示するとしています。
一方、中国本土では事件関係者や人権活動家らへの監視が強まっています。香港メディアによると、事件の犠牲者の遺族でつくる「天安門の母」のメンバーの携帯電話は、国外や香港・台湾などからの電話を受けることができない状態が続いているといいます。








