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2022年6月2日(木)

きょうの潮流

 パスポートをつくるため、戸籍を手にしたときでした。フォトジャーナリストの安田菜津紀さんは父親が在日コリアンであったことを初めて知りました▼以後、日本でくらす外国人たちのルーツをたどる旅をつづけています。いくつもの取材を通して感じているのは「ルーツを隠さなければならない社会は、決して『豊か』とは言えないということ」(『あなたのルーツを教えて下さい』)▼する側、される側とむきあい、社会に根づく差別の構造を明らかにしてきた安田さん。それを見過ごさず、ともに声をあげ、色とりどりの真に豊かな社会をつくるために立ち上がる人びとの存在があることに希望を抱いています▼韓国の人気音楽グループBTSがホワイトハウスに招かれ、バイデン大統領と会談しました。コロナ禍で絶えないアジア人への憎悪犯罪。彼らも差別された体験があり、根絶のため少しでも役に立てればと実現しました▼きょう一人ひとりが意味ある存在として互いに尊重し理解するためのさらなる一歩となることを願っている。自分と違うということは悪いことではない、他者を認めることから平等は生まれる―。会談の前に記者会見で語ったメンバーの思いです▼ホワイトハウスは「BTSは希望と積極性のメッセージを世界に広げる“青年大使”」だと。一見すると世には憎しみがあふれているようにみえます。しかしそれを包み込むような個人の尊厳をもとめるたたかいの連鎖も、太く脈々と。人権の世紀の巨大な流れです。


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