2022年6月1日(水)
泊原発運転差し止め
札幌地裁判決 津波対策が不十分
|
北海道内の住民1201人が北海道電力泊原発(泊村、運転停止中)は安全性に問題があるとして、運転差し止めと廃炉を求めた廃炉訴訟判決が31日、札幌地裁でありました。谷口哲也裁判長は「津波に対する安全性の基準を満たしていない」として、泊原発の1号機から3号機の運転差し止めを命じました。原告弁護団によると、津波対策が不十分であることを理由に運転差し止めを命じるのは初めて。
判決は、原発が原子力規制委員会の策定した安全性の基準を満たすかどうかは、知見や資料を持つ電力会社が立証する必要があると指摘。会社が立証を尽くさない場合には、原発が安全性を欠き、周辺住民の人格権侵害の恐れがあると推認されるとしました。
その上で、泊原発の津波防護施設について、北電側は防潮堤が存在し、防潮堤の地盤に液状化などが生じる可能性は低いと主張するものの、地盤の液状化の恐れがないことについて、「相当な資料による裏付けをしていない」と指摘。建設予定の新たな防潮堤も構造が決まっておらず「津波防護機能を保持することのできる津波防護施設は存在せず」としました。
一方、廃炉については請求を棄却しました。
住民は東京電力福島第1原発事故後の2011年11月に提訴。市川守弘弁護団長は「提訴から10年たっても安全性を北電は何ら示さず、裁判所が審理継続が相当でないと判断したことを評価したい」と語りました。