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2022年5月28日(土)

論戦ハイライト

物価高に苦しむ国民助けよ

宮本議員の質問 衆院予算委

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(写真)質問する宮本徹議員(左)=27日、衆院予算委

 27日の衆院予算委員会で、物価高騰に苦しむ国民や中小業者への支援を迫った日本共産党の宮本徹議員。消費税の緊急減税や中小企業への支援とセットにした最低賃金引き上げとともに、大企業の内部留保課税などを提案する宮本氏に、岸田文雄首相は「総合緊急対策を用意した」などというだけでした。宮本氏は「国民の暮らし、生業(なりわい)を守る真剣さが感じられない」と厳しく批判しました。


消費税の緊急減税提案

表

 電気・都市ガスは2割以上、生鮮食品は12%値上がり、急激な物価高騰が国民生活や中小企業を苦しめています。宮本氏は、今後も値上げラッシュが続くとして「いま政治がやるべきは、物価の引き下げ、物価高騰に負けないよう国民の収入を増やすことだ」と訴えました。

 その上で宮本氏は「政府の決断で価格をすぐ下げられるものがある」と指摘。政府が4月に小麦の売り渡し価格を17・3%引き上げたことで、6月、7月にパンなどが1割近い値上げになると強調し、「小麦の売り渡し価格の引き下げをやるべきだ」と迫りました。

 宮本 毎日の食卓に直結する話だ。政府が売り渡し価格を上げなければ7月から値上げされることはない。

 金子原二郎農林水産相 製品供給に混乱をきたすとともに、適正な価格転嫁を阻害する恐れがある。小麦だけ価格抑制することは慎重に考えるべきだ。

 宮本 混乱をきたすというが、政府が売り渡し価格を引き上げたことによって国民生活が混乱している。

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 さらに、宮本氏は「小麦だけ価格を下げるのは慎重にというならもう一つ、政府がすぐできる物価引き下げが消費税の減税だ」と強調。物価が2・5%増、生活必需品が前年同月比4・8%増で消費税5%増になった感覚だとして、「緊急減税で生活必需品の物価全般を引き下げる必要がある」とただしました。岸田首相は「消費税は社会保障費の安定的な財源だ」と主張しました。

 宮本氏は、消費税増税分は、法人税と所得税の減税分に置き換わる一方、法人税率は37・5%から23%台にまでさがっていると指摘し、「消費税が社会保障の財源というのはごまかしだ」と批判。「内部留保を積み増す大企業に法人税の大減税を続けるより、消費税の緊急減税の方が国民の暮らしにとっても、経済の好循環にもいい」と強調しました。

物価を上回る賃上げを

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 宮本氏は「物価高騰で所得が少ない人ほど打撃を受けている」と指摘。世界各国は賃上げ政策として最低賃金の引き上げを行っていることを示しました。

 宮本氏は、日本の最賃は全国加重平均930円で「最低賃金では人間らしい生活ができない水準だ」と指摘。物価高騰もふまえ、大幅な最低賃金引き上げを中小企業への支援とセットで決断すべきだと迫りました。

 首相 政策努力を続けている。できる限り早期に全国加重平均1000円以上を目指す。

 宮本 物価高騰の中で、従来と同じ答弁を繰り返すのは驚きだ。時給1500円を実現したら、非正規も正規も賃金の底上げになる。

 宮本氏は、政府の賃上げ政策で決定的に足りないのが「最賃引き下げへの中小企業支援だ」と強調。その上で日本共産党が「アベノミクス」で増えた内部留保に時限的課税する提案や、賃上げ・グリーン投資は控除を設けて促進しようとしていることをあげ、「どの中小企業・小規模事業者も助かる形で、最低賃金引き上げ支援を行うべきだ」と主張しました。

 首相 内部留保への課税は二重課税にあたるとの指摘がある。賃上げ税制などさまざまな政策で、賃上げの社会的雰囲気をつくっていく。

 宮本 賃上げ税制は一部の企業しか使っていない。大企業が内部留保はたまり続けているのは現実だ。これを真剣に考えなければ物価高騰のなかで、低所得者の非正規労働者の暮らしを守れない。

年金削減ストップせよ

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 生活必需品の値上がりは、とりわけ年金生活者を直撃しています。

 宮本氏は、高齢者の消費者物価指数は6年で5%も上がっているのに年金は増えず、その上政府が6月から公的年金を0・4%削減しようとしていると指摘。かつて小渕内閣は、予定されていた年金削減をストップしたことがあると述べ、次のように迫りました。

 宮本 今の物価高騰は年金削減をストップすべき局面だ。

 首相 将来世代の負担が過重とならないよう、将来にわたって持続可能な仕組みとする。

 岸田首相はこう答えた上で、住民税非課税世帯への10万円の給付や、年金生活者支援給付金などを重層的に用意し「負担軽減に努めている」などと述べました。

 宮本氏は「今(首相が)話したことは全部、物価高騰前の対策だ。今の仕組みでは将来世代が受け取る年金は3割目減りする」と指摘。財源を確保し、高齢者も将来世代も安心できる年金制度へ抜本改革することこそ必要だとして、年金削減はただちにストップすべきだと重ねて求めました。

大軍拡で暮らし破壊に

 岸田首相が目指す空前の大軍拡が、経済を壊し、国民の暮らしを圧迫する危険があります。

 宮本氏は、岸田首相が23日の日米首脳共同声明で「防衛費の相当な増額の確保」を明言したことを指摘。自民党が公約で5年以内のGDP(国内総生産)比2%以上の増額を掲げていることを挙げ、2022年度当初予算の倍増となる11兆円を超え、ロシアを大きく上回る世界3位の軍事大国となるとして次のようにただしました。

 宮本 どこから財源が出てくるのか。

 鈴木俊一財務相 財政制度等審議会の参考として、他の経費を削減し、国防費に一層重点配分するか、国民負担を増加させるかの議論につながるとの論点を紹介した。

 宮本 端的に言えば、増税か、暮らし予算などの切り捨てに直結するということだ。首相がバイデン米大統領に約束したことが、国民に負担をもたらすとの自覚はあるか。

 首相 数字ありきではない。年末に向けた予算編成作業で、何が必要かの議論を積み上げていく。

 宮本 数字は考えていないと言いながら、積み上げる前からなぜ『相当な増額』がでるのか。GDP2%は岸田首相が総選挙でたたかった公約に入っている数字だ。

 宮本氏は、軍事費をGDP比2%にした場合、消費税なら税率は12%となり、医療費の国庫負担の削減なら、医療窓口負担の倍増か、保険料の大幅値上げなどの負担にならざるを得ないと指摘。「軍事費増額の金額と財源を参議院選挙前に国民に明らかにすべきだ」と繰り返し迫りました。岸田首相は「今の段階で数字ありきの議論はしていない」との逃げの答弁に終始。宮本氏は「際限のない軍拡競争による暮らし破壊は許されない」と強調しました。


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