2022年5月27日(金)
チリ、最低賃金14.3%引き上げ
29年間で最大 経営側も労組も「歴史的」
中小に援助金 調整法を公布
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物価高騰が国民の生活を直撃している南米チリで最低賃金が14・3%引き上げられます。左派のボリッチ大統領が23日、議会が可決した最賃調整法に署名、公布しました。引き上げ幅は過去29年間で最大で、労働者約85万人が直接恩恵を受けます。最賃支給のため約18万の中小企業向けに援助金を支給する措置も初めて具体化されました。
現地メディアによると、チリの最低賃金は現行の月額35万ペソ(約5万3千円)から5月中に38万ペソへ、8月に40万ペソ(約6万1千円)へと2段階で引き上げられ、合わせて14・3%増額となります。これは年間のインフレ率10・5%を上回っています。12月時点でインフレ率が7%を超えた場合、最賃も来年1月からさらに41万ペソに引き上げられます。
最低賃金を順守する中小企業には、5月、8月、1月の引き上げ時点から労働者1人当たり、それぞれ月額2万2千ペソ、2万6千ペソ、3万2千ペソの援助金が支給されます。
3月に就任したボリッチ大統領は、政権公約で大幅な最賃引き上げを掲げていました。同氏は最賃調整法の公布式典で、「働きがいのある人間らしい仕事を促進する」政府の立場を表明。「われわれは、誰も置き去りにしない。中小企業が置き去りにされてはならない」と語りました。
最賃引き上げ交渉で補助金支給の要求を実現した全国中小零細企業連合のフィゲロア会長は、中小企業代表が初めて交渉に参加できたことを評価。「最賃の歴史的な引き上げ」は「まさに市民が求めていたものだ」と述べました。
中央統一労働組合(CUT)のモレノ副議長も今回の最賃増額を「社会的公正と平等の達成に近づく歴史的前進」と歓迎しました。