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2022年5月27日(金)

吉川元農水相に有罪

東京地裁 鶏卵大手の500万円は賄賂

 農林水産相在任中に鶏卵業者から現金計500万円を受け取ったとして収賄罪に問われた元自民党衆院議員の吉川貴盛被告(71)の判決が26日、東京地裁でありました。向井香津子裁判長は「職務に関して賄賂を収受した」と認定。「農林水産行政全体の公正さに悪影響を及ぼす危険性の高い行為」だとして懲役2年6月、執行猶予4年、追徴金500万円(求刑懲役2年6月、追徴金500万円)を言い渡しました。

 公判の争点となったのは賄賂性の認識。吉川被告は現金の受領を認め、賄賂ではなく政治献金だとして無罪を主張していました。

 判決によると、吉川被告は2018年11月21日、鶏卵大手「アキタフーズ」(広島県福山市)の秋田善祺(よしき)前代表(88)=贈賄などで有罪確定=から東京都内のホテルで現金200万円を受け取りました。

 日本養鶏協会の副会長を務めた秋田前代表は当時、国際機関が示した飼育基準案に反対意見を表明するよう吉川被告や農林水産省に何度も要望しました。

 その結果、同省の担当者と養鶏業者の意見交換会や、国会議員の参加による緊急陳情会議が実現。吉川被告が秋田前代表の期待に応じて「便宜を図った」と指摘しました。

 19年3月26日には大臣室で現金200万円、同年8月2日にも大臣室で現金100万円を授受しました。

 判決は、吉川被告が農水相の職務に関連する何らかの期待が込められた現金だと容易に想像できたとして、賄賂の趣旨について「認識を有していた」と結論づけました。

 向井裁判長は、吉川被告が政治資金規正法に基づく処理や返還もせずに全額を使い切るなど「利欲的犯行」で「刑事責任は重い」と強調。一方で「自ら金銭を求めるような行為は一切なかった」などとして執行猶予つきの判決としました。


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