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2022年5月26日(木)

不平等 いっそう拡大

「億万長者」2年で573人増

NGO報告書

 「コロナ前に、すでに極端な不平等だったが、不平等は新たなレベルに達した」―国際NGOオックスファムは23日、貧富の格差がいっそう進んでいると報告書で明らかにしました。「食料、製薬、エネルギー、IT分野の企業はもうけ、コロナ禍で億万長者の資産が急増する一方、世界で多くの人々が生活費危機に直面している」と述べ、各国政府に不公平をただす措置を求めました。


 報告書は、政財界トップが参加するスイス東部ダボスで開催中の世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)に合わせて公表されました。

 保有資産10億ドル(約1280億円)超の「億万長者」は2年前に比べて573人増の2668人になりました。保有資産の合計は約12兆7000億ドル(約1625兆6000億円)に上ります。このうち上位10人の大富豪だけで、世界の下位40%にあたる31億人よりも多くの資産を保有しています。

 コロナ禍の過去2年間の億万長者の資産総額の増加額は、それ以前の23年間の合計を上回りました。食料、エネルギー業界の大富豪は4530億ドル(約57兆9840億円)の富を増やし、製薬業界では、新たに40人が億万長者となりました。

 報告書は、新型コロナワクチン製造のモデルナやファイザーは、ワクチン開発で巨額の公的支援を受けながら、「1秒間に1000ドルの利益」を得ていると指摘。特許を免除すれば可能な価格の24倍を各国政府に請求していると批判しています。

 また原油や天然ガスなどが1970年以降で最大の値上がりとなるなか、エネルギー業界は昨年、45%の増収を記録。BP、シェルなどの石油大手は、総額820億ドルの利益を得ました。

 オックスファムのガブリエラ・ブシェー事務局長は、億万長者の「ぼろもうけ」を批判。「この醜悪な不平等は、人類を結びつける絆を壊している」と語りました。

 報告書は、2022年だけで新たに約2億6300万人が極度の貧困に陥る恐れがあると指摘しています。各国政府に対し、人々の生活を危機から救うために、恒久的な富裕税の導入を含む累進課税の強化を要求。社会保障を手厚くする緊急対策の実施を促しました。


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