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2022年5月25日(水)

レーダー

安倍氏側近が監査役

 内閣情報官として安倍政権を情報面で支えてきた元警察官僚の北村滋氏(65)が、日本テレビホールディングス(HD)と、子会社の日本テレビ放送網の監査役として天下りするという驚きの人事が明らかになりました。12日に発表されたもので、就任は6月29日となります。

 北村氏とはどんな人物なのか―。

 1980年に警察庁に入庁した北村氏は、警備企画課理事官、警備課長、外事課長、外事情報部長など、スパイや国際テロ対策などを担当する公安・外事畑を一貫して歩き、第1次安倍内閣の首相秘書官をへて、2011年12月に内閣情報調査室の事実上のトップ、内閣情報官に就任しました。

 内閣情報官時代、“官邸のアイヒマン”との異名を持ち、内調の情報力を使って、官邸がらみのスキャンダルの火消しに動いたことが指摘されています。

 たとえば、加計学園疑惑で安倍首相に異議を唱えた前川喜平文部科学事務次官(当時)の「出会い系バー通い」という読売新聞の“スクープ”。警察がつかんだ情報が、北村氏が仕切る内調ルートで官邸にあげられ、官邸からリークされたという見方がさまざまなメディアで報じられました。

 13年には、多くの国民の強い反対を押し切って、表現や報道の自由などの基本的人権を保障する憲法原理を根底から覆す秘密保護法の制定(施行は14年)に奔走。19年9月からは国家安全保障局長に就任(菅義偉内閣の21年7月まで)、三日にあげず安倍首相や菅首相と面会、“情報”を報告、「官邸官僚」の象徴的存在となりました。

 21年9月には、コンサルティング会社「北村エコノミックセキュリティ」を設立。トランプ前米政権で大統領補佐官(国家安全保障問題担当)を務めたオブライエン氏の「アメリカン・グローバル・ストラテジーズ」社と提携、防衛や航空宇宙、製造業など経済安全保障に関する情報提供をおこないます。

 昨年11月には、政府の「経済安全保障法制に関する有識者会議」のメンバーとなり、アメリカの世界戦略と軌を一にして、経済と科学技術を軍事に組み込もうとする経済安全保障法制定にかかわりました。

 こうした政権中枢を歩んできた人物が、権力を監視すべきテレビの役員に就任することが、どういう意味を持つのか。ちなみに、安倍、菅両首相と、飲食をともにしてきた粕谷賢之執行役員は今回、上席執行役員に昇格します。日本テレビと権力の近さが問われます。(藤沢忠明)


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