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2022年5月25日(水)

主張

男女賃金格差

公表の徹底で是正を進めよう

 岸田文雄首相が20日、労働者301人以上の企業に男女賃金格差の公表を義務付ける方針を表明しました。企業が男女賃金格差の実態を把握し、公表する制度をつくることは、日本共産党が国会質問で繰り返し求めてきたものです。

 開示義務化は国民の声と、それと結んだ国会論戦の力で政治を動かした重要な第一歩です。格差公表を徹底するとともに、企業に是正の計画をつくらせ、国はその実態を監督し、奨励する仕組みをつくることが必要です。

世論と国会論戦で動かす

 日本の女性の賃金は、正社員で、男性の7割台(厚生労働省の賃金構造基本統計調査)です。非正規雇用を含む年間平均賃金では、約240万円の差があります。

 女性の大卒者が男性の高卒者とほぼ同じ賃金水準です。格差は、大企業ほど著しくなっています。40年勤務として計算すると、男女間の差は、およそ1億円になります。これは、現役時代の収入が反映する年金額でも差をつくり出すことになります。企業に賃金格差の実態を公表させることに応じず、是正に背を向けてきた自民・公明政権の姿勢は重大です。

 経済協力開発機構(OECD)によると、日本は男女間賃金格差の大きさが調査対象の42カ国・地域中3番目です。世界の潮流から立ち遅れています。

 欧州連合(EU)では、女性の賃金は男性の8~9割になっていますが、2021年3月、これを重大な問題だとして、公表を企業に義務付けて格差を是正させる賃金透明化指令案を公表しました。是正しない企業への罰金、ペナルティーも含まれています。

 国ごとの取り組みも進められています。内閣府の資料によると、アイスランドでは従業員25人以上の企業に男女同一賃金の公的認証の取得を義務付け、違反には罰金が科されることもある制度を18年に導入しました。

 フランスは従業員50人以上の企業で男女の賃金格差や出産・育児休暇から復帰した時の昇給の有無などを点数で評価し、定められた点を下回った場合、3年以内に是正措置を講じなければならない制度を18年に始めました。イギリスでは、時間当たり賃金や一時金など男女間格差の詳細公表を義務化し、違反には罰金もある制度が17年からあります。実効性のある措置で男女賃金格差を解消するのは、日本の政治の責任です。

 働く女性の半分以上が低賃金の非正規労働であることや、保育や介護労働者の賃金が全産業平均より月約10万円も低いという状況が放置されていることも問題です。同一価値労働同一賃金を実現するとともに、非正規労働や福祉労働の賃上げが必要です。

平等ほど経済成長に寄与

 賃金など男女格差の是正は、経済成長にも結び付きます。

 日本共産党の大門実紀史参院議員は、欧米諸国では、男女格差の是正に努める企業ほど将来性と競争力があると判断され、企業価値も上がる時代と指摘します(『やさしく強い経済学』)。国際通貨基金(IMF)はジェンダー格差縮小が成長の推進力を強めるというリポートをまとめています。

 ジェンダー平等社会の土台となる賃金格差の是正をはじめ、男女の差別のない社会実現へさらに力を合わせましょう。


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