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2022年5月24日(火)

きょうの潮流

 戦争が起きるたびに人びとが継いできた歌があります。ベトナム戦争のさなかに開かれた平和を願う市民集会のためにつくられた「死んだ男の残したものは」もその一つです▼「死んだ男の残したものは ひとりの妻とひとりの子ども 他には何も残さなかった 墓石ひとつ残さなかった―」。谷川俊太郎作詞、武満徹作曲のこの歌は、切々と訴える反戦への思いが力強く心に響いてきます。悲しみとともに、生きている意味を問うように▼ウクライナ侵略から3カ月。戦況が長期化するにつれて、ロシア軍や国民の間に厭戦(えんせん)気分がひろがっているといいます。現地からのニュースでは戦場に戻りたくない、行きたくないという相談が殺到していると弁護士が証言していました▼多くの死者がでている前線は混乱し、士気の低下があらわに。国内では品不足や物価高で生活への負担は一段と厳しく、万引きなどが増加しているとの報道もあります。ついには国威をあおってきた国営テレビが状況は悪化するとの専門家の指摘を流すことまで▼一方のウクライナ軍は長期戦に備える構えを示しています。なによりも侵略を、戦争を早くやめさせるためには、これまで築いてきた国際社会の取り決めを守れの声をひろげ、プーチン政権を囲んでいくことではないか▼「死んだ兵士の残したものは こわれた銃とゆがんだ地球 他には何も残せなかった 平和ひとつ残せなかった」。先の歌には戦争のむなしさ、愚かさを表したこんな詩もつづられています。


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