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2022年5月19日(木)

きょうの潮流

 “コミュ症”とは、人付き合いを苦手とする症状。または、その症状をもつ人を指す。留意すべきは、苦手とするだけで、他人とかかわりをもちたくない、とは思っていないことだ―▼漫画「古見(こみ)さんは、コミュ症です。」はそんな説明から始まります。『週刊少年サンデー』に連載され、アニメやドラマにもなったオダトモヒトさんの人気作品です。人と話すことが極度に苦手な女子高校生が個性的な生徒たちと友だちになってゆく物語です▼コメディーながら、ゆれる心の内や相手との距離感を描いていることが若者の共感を呼んでいるのでしょうか。さて5月は風薫る陽気とは裏腹に、新しい生活や環境になじめず心身の不調を訴える人が増える時期でもあります▼「生きづらさの正体を探る」という副題がついた『「コミュ障」のための社会学』が好評です。社会学者の岩本茂樹さんがコミュニケーション障害をつくりだしてしまう現代社会の壁を取り払うヒントを▼印象的だったのは「自分とは違った風景を眺めている人たちに思いをはせること」。別の人の目を通して映し出される世界は自分の視野を広げ、深みを与えてくれる。逆に自分たちが属する集団ばかりに価値を求めると、そこから外れた集団に反感を抱き干渉を招きかねないと▼自国中心主義をあおる権力者によってくり返されてきた悲惨な歴史。のりこえる鍵は不寛容な感情をいかに振り払うか。閉ざされた風景から開かれた風景へ。今の世を見るにつけ身に染みてきます。


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