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2022年5月12日(木)

きょうの潮流

 きょうを生きることに必死だった貧しき日々。劣等感のかたまりだった少年期。みずからをさらけ出すことで人は心をつなげられないか。青年はそんな思いで生い立ちの記をつづりました▼終戦後に町工場で働きながら文学の道を志した早乙女勝元さん。18歳のときに書いた「下町の故郷」は貧困と戦争の底で味わった体験でした。「自分が歩んできた苦しみをこれからの世代の上に負わせてなるものか」。固い決意を込めながら▼それは自身が生死の境をさまよった東京大空襲を記録することにも。毎日のように遺族を訪ね歩き、事実を掘りおこしていきました。その執念はルポ『東京大空襲』をはじめ、さまざまな形で歴史に刻まれています▼2002年に江東区に開館した「東京大空襲・戦災資料センター」もその一つです。悲惨な歴史をくり返さないために記憶を語り継ぐ。本来やるべき国や都が責任を投げ捨てるなか、民の力で実現するために尽力しました▼90年の生涯を貫いてきた反戦平和への思い。それは戦前戦後、同じ志で活動してきた日本共産党への期待にもつながりました。子どもたちが人間らしく生きられる未来のためにも、戦争絶対反対を訴える党が必要だと▼戦争に結びつく動きには国内外を問わず、反対の意思を示してきた早乙女さん。名誉館長をつとめる戦災センターが20周年の今年に編んだ『いのちと平和のバトンを』への寄稿で呼びかけています。「私たちは歴史の真実を継承する一人ひとりになろうではないか」


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