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2022年5月7日(土)

きょうの潮流

 「災害が万が一にも起こらないようにするため」十分な審査を行わせること―。四国電力伊方原発(愛媛県)の設置許可取り消し訴訟の最高裁判決が、国の審査のあり方に言及している箇所です▼1992年の判決ですが、福島原発事故後の原発訴訟で繰り返し取り上げられています。いま、これが想起されるのは、岸田首相が原子力規制委員会による原発審査の「効率化」を盛んに言い出しているからです▼先月、民放のテレビ番組に出演した際、原発の再稼働をどう進めるかと問われた首相はこう語りました。審査の「合理化・効率化を図り」「審査体制を強化しながら」原発をできるだけ動かしたいと▼国会では、自民党議員が「エネルギーの危機的状況」だから、義務づけられているテロ対策施設の設置期限の規制を除外するべきだなどと「迅速な審査」を求める質問。すると首相は、審査の「効率化に努めていく姿勢は重要」だと答弁しました▼審査中の原発といっても建設中だったり、敷地内にある断層が活断層の可能性を指摘される原発がいくつも。中には、地質データの無断書き換えが発覚した悪質なものもあります▼東京電力柏崎刈羽原発のように審査に“合格”した後も、核セキュリティーの不備などが明らかになり、運転する資格が問われる事態になっています。審査を十分に行うのでなく効率化を図るとは結局、再稼働ありきの電力会社を助けることに。政府の姿勢は、原発事故がもたらした甚大な被害を忘れたかのようです。


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