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2022年5月3日(火)

きょうの潮流

 「私たちは、生きている」。たった二つの言葉を聞きたいがために、毎日祈り続けたといいます。ボスニア内戦で包囲された故郷サラエボ。そこに残した妻と娘の身を案じながら▼サッカーの日本代表監督を務めたイビチャ・オシム氏の訃報が伝わってきました。選手らに大きな影響を与えたサッカーや人生についての深い思索や言葉の数々。背景には、民族主義や戦争に対する平和や多様性をもとめる思いがありました▼人間の狂気や憎悪を目の当たりにした彼は「民族国境なんかもう取っ払って、新しいものに価値を見つけるほうがいい」(『オシムが語る』)。そして明日になれば何が起こるかわからない場所では「人々は問題解決のアイデアを持たなければ」と訴えました(『オシムの言葉』)▼いまロシアのウクライナ侵略をめぐり、こうした事態を引き起こさせないためにどうするか、という議論が日本でも広がっています。軍拡による対抗か、憲法9条を生かした外交で平和な地域をつくるか▼75年前のきょう、日本は世界に先駆けて戦争の放棄、戦力の不保持を掲げた憲法を施行しました。戦争を起こさせないために知恵を尽くし、あらゆる問題を話し合いで解決する―。それは平和を願う世界の人びとの思いと合致しているはずです▼「敗北から最も学んでいるのは日本だと、世界の人たちは考えている」。オシム氏はサッカーに限らず、日本に深い信頼と期待を寄せていました。自分たちの進むべき道を信じろ、というように。


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