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2022年5月1日(日)

きょうの潮流

 ロシアのツァーリ・ピョートルは皇帝、大帝と呼ばれ、「帝国」を名乗るようになりました。ロシア帝国が生まれたのは、ほぼ300年前のことです▼少年の頃から軍事が好きだったというピョートル大帝。徴兵制を導入し、多いときは二十数万の軍隊をつくりました。バルト海への進出をねらって、首都をモスクワから北の海岸に面したペテルブルクに移しました▼当時バルト海一帯を支配していたのは、スウェーデン。「北方戦争」は、1700年から21年間続きました。ロシアは敵国の沿岸部の重要施設、本土まで攻撃し、エストニアなどバルト海沿岸地域を奪取。北東ヨーロッパ地域の強国にのしあがりました。18世紀末には、ウクライナの大部分を支配下におきました▼マルクスは「18世紀外交史の内幕」という史論で書いています。「バルト諸州の征服は、ロシアに近隣の北方諸国間での覇権を保障する」「彼の全創造は、バルト海の沿岸地方の征服にかかっている」。大英博物館の図書館で調べ、ロシアの覇権、領土拡張の歴史をリアルに描写しています▼そのためか、スターリン時代のソ連では“禁書”扱いでした。マルクス・エンゲルス全集にも掲載されず、収録されたのは、1986年発行の英語版が初めてです▼志位和夫委員長は、蛮行を重ねるロシアのウクライナ侵略の最大の動機に、18世紀以来のロシアの覇権主義、膨張主義があると指摘しました。プーチン大統領を「ロシア帝国の末裔(まつえい)」と称したのは、言い得て妙です。


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