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2022年4月28日(木)

きょうの潮流

 若い私たちが東日本大震災を語り、伝えることなんてできるのだろうか―。とまどいながらの出発でした▼東日本大震災を伝えようと、宮城県七ケ浜町立向洋中学校の生徒が立ち上げた自主活動グループ「Fプロジェクト」。「F」は「ふるさと」「復興」「フューチャー(未来)」の頭文字です。震災学習をきっかけにしたとりくみは、卒業後も続きます。6年間の歩みを『震災を語り伝える若者たち みやぎ・きずなFプロジェクト』(かもがわ出版)にまとめました▼「3・11に鳴り響くサイレンの音は、今も苦手」というメンバーは、身内を亡くしていました。親友が自分より過酷な体験をしていたと知り、活動にのめり込んでいきました。それでも「感情があふれてしまうから」と“語り部”には足を踏み出せていません▼目の前で何人もの命が奪われていく様子を目にしたメンバーは、当時の作文が書けませんでした。しかし、同じような体験をした被災者の話を聞き「自分だけ時が止まっていた」と気づき、少しずつ震災に目を向けられるようになりました▼被災者との交流や紙芝居の公演、浜を守るビーチクリーン活動…。訪れた先々でもらったのは、「ありがとう」という感謝の言葉。「小さなことかもしれないけれど、自分にもできることがあるんだ」と感じられる出会いを積み重ねてきました▼初代メンバーは19歳。それぞれの思いで歩み続けます。時がたち震災の記憶も教訓も薄れそうになる中で、自分にできることを模索しながら。


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