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2022年4月28日(木)

中止基準守らず出航

知床遊覧船社長が会見

アンテナ折れ通信不能

写真

(写真)観光船「KAZU Ⅰ(カズワン)」の運航会社事務所の屋根の上の折れ曲がったアンテナ(中央)=27日、北海道斜里町

 北海道・知床半島沖で観光船「KAZU I(カズワン)」が消息をたった事故で27日、運航会社「知床遊覧船」(斜里町)の桂田精一社長(58)が同町内で初めて記者会見しました。会見では運航中止基準をこえる波浪、強風注意報が出ていたことを認識していたにもかかわらず、出航していたことが明らかになりました。

 桂田社長によると、運航中止の基準は波高が1メートル以上、風速は毎秒8メートル以上でした。出航前には気象庁から波浪、強風注意報が出ていました。斜里町でこれらの注意報が出る基準は波高が3メートル、風速は毎秒15メートルとなっています。

 桂田社長は注意報が出ていたことは知っていたと説明。出航した理由について、天候が悪化した場合は引き返すことになっていたとし「船を見送ったあとに車で走りながら海を見て、その時点で荒れていなかった」などと述べました。

 カズワンと連絡をとるための無線と衛星携帯電話が使用できない状態だったことも明らかになりました。桂田社長は同社事務所のアンテナが故障しており、その事実を知ったのは事故当日でカズワン出航の約1時間半前だったとしました。桂田社長は「携帯電話や隣接する他の運航会社の無線でのやり取りも可能であるため、出航を停止する判断をしなかった」と話しました。衛星携帯電話について桂田社長はカズワンに搭載されていなかったと説明。「調子が悪いのは把握していたが、修理して(船に)つんでいたと思っていた」と述べました。

 事故の原因について桂田社長は「教育や安全管理規程の徹底が行き届いていなかった」と話し、「すべての原因は私の至らなさだと感じている」と話しました。(津久井佑希)


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