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2022年4月19日(火)

きょうの潮流

 たかがヤジというなかれです。3年前、札幌で安倍首相(当時)の街頭演説中にヤジを飛ばした市民2人が警察官に排除された事件。「言論弾圧だ」と2人は裁判に訴えました▼この問題に焦点を当てたのが北海道放送の「ヤジと民主主義」(2020年放送)です。担当したのは20代のディレクター。初めて手がけたドキュメンタリーで、「権力に忖度(そんたく)せず、おかしいことはおかしいという」と本紙のインタビューに応えています▼番組は当事者や友人らが撮った映像も駆使して迫ります。支持者が安倍氏に接近し握手するのは歓迎して、遠くから抗議の声を上げる市民は腕(うで)ずくで押しのける。権力の意に沿わないものを弾圧した戦前の治安維持法につながらないかとの問いかけは鋭い▼現在にも通じることです。警察がデモや集会を敵視、監視活動を緩めていません。ロシアでは、国営放送の編集者がテレビ放送中に「反戦」を訴えて警察に拘束され、侵略に抗議する市民が制圧されています▼今年3月、札幌地裁は北海道警の行為は「表現の自由の侵害」とする判決を出しました。「政治家の演説に対して直接抗議や疑問の声を届けることは、民主主義社会において重要な権利行使の局面」としています▼気になるのは地元北海道を除いて、この判決を多くのメディアがまともに取り上げていないことです。言論の自由にかかわる題材なのに、ジャーナリズムとしての見識が疑われます。ちなみに「ヤジと民主主義」はユーチューブで見ることができます。


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