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2022年4月15日(金)

きょうの潮流

 主人公はヒトとチンパンジーの間に生まれた「ヒューマンジー」。彼はチャーリーと名付けられ、人間のもとで育ちます。そして入学した高校でさまざまな事件に巻き込まれていきます▼今年で15回目となるマンガ大賞に選ばれた、うめざわしゅんさんの『ダーウィン事変』です。舞台はアメリカ。異種の存在をめぐり、人間や動物の権利とは、差別やテロといった現代社会が抱える問題を投げかけます▼自分とは明らかに異なるものを受け入れて共存するか、あるいは異物として排除するのか。作者のうめざわさんは、いろんな楽しみ方があるこの作品に「人間と動物の生存権」というテーマを落とし込んだといいます▼畜産にともなう温室効果ガスによる地球温暖化、動物性中心の食生活がもたらす健康被害、自然破壊で野生動物から感染する未知のウイルス…。人間による動物への搾取は、いまやヒトの生存環境まで危うくしている。そんな訴えも込めて▼命を命とも思わない例は、ここにも。昨年、動物虐待で摘発されたのは全国で170件にのぼり過去最多でした。最も多かったのは遺棄で、劣悪な環境で多数を飼育していた販売業者も虐待の罪に問われました。ウクライナではロシアの攻撃でたくさんの動物が犠牲になっています▼漫画では過激な組織が動物解放をうたい、テロを起こします。しかしチャーリーを育てた博士は、私は人間に絶望していない、現実は決して不変ではないと望みをかけます。「生きるとは変わることだ」と。


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