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2022年4月14日(木)

シリーズ 維新の会 その実像は

「核共有」を叫ぶ

被爆国の政党 資格なし

 ロシアのウクライナ侵略と「核」による威嚇に乗じて、日本でも「核共有の議論を」と叫ぶ日本維新の会。被爆者の強い批判などを受け、釈明も口にしていますが、過去の言動からはさらに危険な思想が浮かび上がってきます。(窪田聡)

改憲・軍拡勢力の先兵に

安倍氏に呼応

 維新が「核共有」について主張し始めたのは、2月27日のフジテレビ番組で安倍晋三元首相と維新の創設者・橋下徹元大阪市長が「核共有」議論の必要性で一致してからです。

 翌日には党代表の松井一郎大阪市長が「核共有」に関して「議論は当然」「非核三原則は昭和の価値観」と呼応。3月3日には「核共有による防衛力強化等に関する議論を開始する」との提言を外務省に提出しました。

 「核共有」は、米国が同盟国に核兵器を置き、共同で核を管理・運用する仕組みのことで、合意次第では自衛隊の戦闘機に核を搭載することになります。岸田文雄首相が同月7日の参院予算委員会で「核共有」に関し「認められない。少なくとも非核三原則の『持ち込ませず』とは相いれない」と答弁するなど慎重な姿勢を見せる中、馬場伸幸共同代表を先頭に、非核三原則の見直しを含め「タブーなき議論を」と主張。改憲・軍拡勢力の先兵ともいうべき異常な姿勢をあらわにしたのです。

公然と「核武装」を主張

石原氏と共に

 維新のこうした言動の根本には、以前からの核武装論があります。かつて共同代表だった故石原慎太郎元東京都知事がインタビュー記事(「朝日」2013年4月5日付)で「日本は強力な軍事国家になるべきだ」「核武装を議論することもこれからの選択肢」と発言。当時、同じく共同代表だった橋下徹氏はこの発言を受けて「国家だから必要な力は持つべきだ」と同調していました。

 松井氏は16年3月の会見で、「完璧な(無制限な)集団的自衛権という方向に行くのか、自国で全て賄える軍隊を備えるのか。そういう武力を持つなら、最終兵器(核兵器)が必要になってくる。政治家が本気で議論しないとだめだ」などと、公然と「核武装」を主張していました。

 さらに同年、維新の参院比例公認候補の矢野義昭氏は、自身のフェイスブックに投稿した動画に、広島の原爆ドーム前で迷彩服を着用し、維新の候補者タスキをかけた姿で登場。「核武装の必要性について説明」するとして、「潜水艦に弾道ミサイル(核兵器)を載せ、それを深海に沈めておく」とまで言及しています。

ウクライナ危機を利用

批判に動揺も

 元来の「核武装」論を背景に、ウクライナ危機に乗じて「核共有」を主張する維新には、被爆者団体をはじめ広範な市民から厳しい批判の声があがり、維新には動揺も生まれています。

 日本被爆者団体協議会から「日本国民を核戦争に導く、危険な提言だ」と糾弾されると、政府に提出を予定していた提言から「非核三原則の見直し」の文言を削除するなど一部トーンダウンさせました。3月22日にユーチューブに投稿された動画では、音喜多駿政調会長が冒頭から「今、誤解が生じている」と発言。青柳仁士衆院議員も「別に核共有を提案したものではない」と続き、音喜多氏は4ページの提言書で「核共有」にふれたのは「わずか1行」などと苦しい弁明に終始しています。

 こうした動きの一方で、提言書を提出した3月3日同日に東徹参院国対委員長は、自身の動画で「非核三原則は国会決議だから法的拘束力はない」などと発言。過去には足立康史国会議員団政調会長が「非核三原則の見直しを議論することは国会議員の責務」(「産経」18年1月12日付)とまで公言するなど、非核三原則に穴をあけることに強い執念を見せていました。

 ロシアのプーチン大統領の核使用の恫喝(どうかつ)で、核兵器を持っていれば核兵器の使用が止められるという「核抑止」が、いかに無力かということが明らかになりました。そのもとで、核の脅威をなくすには核廃絶以外にないことが明瞭になっているときに、「核共有」議論を党の方針に平然とすえる維新の会に、唯一の戦争被爆国の政党としての資格はありません。

図

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