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2022年4月13日(水)

きょうの潮流

 恵まれない環境に育ちながら、テニスの世界で頂点に立った黒人姉妹。そこには父親の常識外れの計画がありました▼米映画の「ドリームプラン」です。合わせて四大大会を30回も制したビーナスとセリーナのウィリアムズ姉妹。ギャングが横行する町でお金もコネもないなか、彼女たちはテニス未経験の父の独学からはばたきました。映画はその実話をもとにしています▼破天荒な父親役を演じ、今年のアカデミー賞で主演男優賞を贈られたのはウィル・スミスさん。しかし授賞式で脱毛症に悩む自分の妻をやゆした司会者に暴力をふるったことがいまだに波紋をひろげています。本人の退会表明につづき、アカデミー賞の主催者は10年間の参加禁止を決めました▼国際的にも注目される式の最中に公然と行われた平手打ち。すでに謝罪を公表しているスミスさんは「決定を受け入れ、尊重する」と。ことばの暴力に力の暴力で対したことに、非暴力の抵抗を貫いた黒人解放の歴史を汚したとの意見もあります▼スミスさんは、この映画から家族の力強さや夢がいかに壊れやすいかを学んだといいます。実際、白人選手が圧倒的に多い世界で夢をかなえるため、ウィリアムズ姉妹は偏見や差別ともたたかいました▼心ないヤジをうけながら、ふたりはみずからの実力でテニス界を動かしていきました。保守的なウィンブルドン選手権で賞金の男女同額を実現させたのもビーナスの訴えが動かす力になりました。その姿は多くのことを教えてくれます。


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