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2022年4月9日(土)

きょうの潮流

 住宅や学校、病院が爆撃を受け、無数の市民が虐殺され、400万を超える難民が故郷を追われさまよう。ロシアのウクライナ侵略の実情を映す画像を日々、身を切られる思いで見ている人も多いことでしょう▼本紙学問文化面「読者の文芸」(火曜掲載)には、反戦を訴える作品が多数投稿されています。中でも短歌が多いのは、「私」の心情を詠むその特質ゆえでしょうか▼選者の歌人・大井学さんは「スローガンに似た言葉は届かない。事態を自分ごととして問い直し、湧き起こる感情や痛みを言葉で捉え直すことが『反戦』を歌うことです」▼〈信号の赤がわたしに目を剥(む)いて戦争止めろと光る黄昏(たそがれ) 名古屋市・咲花徳太郎〉〈罪のない人が殺され亡くなったニュースを耳に飯食べている 東京都・武蔵和子〉―かの地は遠く日常は変わらず続く中で、自分には何もできないという焦燥と罪悪感。〈極夜より老いが重たい皇帝の戦争という拡大自殺 大阪府・井上欠伸〉―プーチン大統領の狂気の沙汰の残虐行為を「拡大自殺」と分析▼〈パパがいないと泣きて震える幼子が目にはいらぬか侵略者には 大分県・渡辺幹生〉―小さい者、弱い者を犠牲にする戦争への怒りと悲しみ。かつての日本の侵略戦争に重ね合わせる歌も寄せられています▼戦争に対して言葉は無力かもしれない。「でも」と大井さんは言います。「黙ってしまうことこそ恐ろしい。言葉にすれば人々の思いが見えてくる。その思いに気づき、共有していくことが大切だと思います」


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