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2022年4月8日(金)

安倍元首相と「朝日」編集委員 週刊誌に“圧力”

「核共有」記事 公表前点検要求

 自民党の安倍晋三元首相が、週刊誌に掲載される自身のインタビュー記事を公表前にチェックするよう朝日新聞の編集委員に依頼していたことが7日、明らかになりました。朝日新聞社は同日、峯村健司編集委員(47)が週刊誌側に公表前の誌面(ゲラ)を見せるよう求めたことを公表しました。同社は「政治家と一体化して」他メディアに圧力をかけたと受け止められる行動だったとして峯村氏を停職1カ月の懲戒処分にしました。(取材班)


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(写真)『週刊ダイヤモンド』に掲載された安倍元首相の記事

 問題の記事は『週刊ダイヤモンド』(3月26日号)に掲載されたもの。インタビューで安倍氏は米国と日本の「核共有」について「議論することを、タブー視してはならない」と語っています。

 「朝日」や峯村氏によると、週刊誌側は3月9日に安倍氏を取材。峯村氏は同日、安倍氏から「ニュークリア・シェアリング(核共有)の部分のファクトチェックをしてもらえるとありがたい」と頼まれたといいます。

 峯村氏は翌10日、週刊誌の副編集長に電話し、「安倍(元)総理がインタビューの中身を心配されている。私が全ての顧問を引き受けている」「とりあえず、ゲラ(誌面)を見せてください」と求めました。副編集長は「ゲラをチェックするというのは編集権の侵害だ」と強く反発し、断ったといいます。

 安倍事務所は「朝日」の質問に、「事実の誤りがないかどうかについて(峯村氏に)確認を依頼した」と認めています。

 「朝日」は峯村氏の行為について「政治家と一体化して他メディアの編集活動に介入したと受け取られ、記者の独立性や中立性に疑問を持たれる行動だった」と判断し、週刊誌編集部に謝罪しました。

 『週刊ダイヤモンド』の山口圭介編集長は「編集権の侵害行為があったのは事実であり、私たちはその介入を明確に拒否しました」などとするコメントを公表。安倍事務所は本紙の取材に回答がありませんでした。

 峯村氏は7日、ネットで自身の処分が「不公正」とする見解を公表。安倍氏との関係は「外交・安全保障について議員会館で定期的にレクチャーをさせていただいていました」としています。

報道の自由脅かす

ジャーナリズム研究者 丸山重威さん

 ずいぶん奇妙なことだと思います。安倍元首相が自分の主張について確かめたいのなら自分で言えばいい。圧力をかけようとしたのなら報道の自由から見て重大です。

 この編集委員はなぜ「ご自分でやられたらどうですか」と言わなかったのでしょうか。編集委員が安倍氏と親しいことを売りにしたかったのだとすれば、何をかいわんやです。


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