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2022年4月8日(金)

参議院選挙勝利・全国総決起集会

志位委員長の幹部会報告

 日本共産党の志位和夫委員長が7日の「参議院選挙勝利・全国総決起集会」で行った幹部会報告は次のとおりです。


写真

(写真)幹部会報告をする志位和夫委員長=7日、党本部

 お集まりのみなさん、インターネット中継をご覧の全国のみなさん、おはようございます。みなさんの連日のご奮闘に対して、心からの敬意と感謝を申し上げます。

 私は、幹部会を代表して、参議院選挙勝利・全国総決起集会への報告を行います。

 参議院選挙の公示日まで2カ月半に迫りました。この選挙は、内外情勢の大激動のもとでたたかわれる歴史的な政治戦となります。

 2月24日、ロシア・プーチン政権によるウクライナ侵略という事態が起こり、国連憲章にもとづく平和秩序の乱暴きわまる蹂躙(じゅうりん)を許すのかどうか、世界は重大な岐路に立っています。この危機に乗じた「戦争する国」づくりの大合唱が起こるもと、戦争か平和か――日本の進路も根本から問われています。

 今日、こうして全国総決起集会を開催した目的は、5月9日に開催される第5回中央委員会総会にむけて、内外の大激動の情勢ときりむすんで、日本共産党ならではの真価を発揮し、参議院選挙での党躍進の確かな流れをつくりだすための全党総決起の意思統一をはかることにあります。

一、新型コロナ対応――反省にたち、新たな感染拡大に備えることを求める

 冒頭に、新型コロナ対応について報告します。

 新型コロナウイルス感染症は、新規感染者数の下げ止まり、増加傾向が生まれ、感染拡大の「第7波」が危惧される状況にあります。

 感染拡大の「第6波」では、1万人を超える最悪の犠牲者を出しました。ワクチン3回目接種が遅れに遅れ、PCR検査がひっ迫し十分に行われなかったことが、高齢者を中心とした犠牲者増につながりました。「なりゆきまかせ」に終始した岸田政権の責任はきわめて重いものがあります。これまでの対応の厳しい反省に立ち、新たな感染拡大に本腰を入れて備えることを、政府に強く求めていきます。

 ――ワクチン3回目接種の必要性と有効性についての情報発信を国が前面に立って行い、遅れをとりもどすことが必要であります。

 ――高齢者施設と医療機関などへの頻回の検査を国の責任で行い、高齢者の命を守ることを強く求めます。

 ――地域医療への支援を強化し、感染者や感染の疑いがある人が十分な検査と医療を受けられるようにするとともに、救急医療など「コロナ以外」の医療体制のひっ迫が再び起こらないようにすることを要求します。

 ――地域医療構想の名での急性期病床削減の計画はきっぱり中止し、拡充に切り替えることも急務であります。

 全党のみなさん。新型コロナから国民の命と暮らしを守るために、引き続き力をつくそうではありませんか。

二、ロシアのウクライナ侵略と日本共産党の立場

 ロシアのウクライナ侵略と日本共産党の立場について報告します。

 侵略開始からひと月半が経過し、激しい戦闘が続くもと、多くの犠牲者が生まれています。いま引き起こされている世界の平和秩序の危機、人道的危機は、きわめて深刻です。ウクライナの多くの無辜(むこ)の市民、子どもたちが、命を落とす痛ましい事態を目にし、多くの方々がいてもたってもいられない悲しみと憤りを募らせていると思います。

 同時に、危機のなかで日本共産党の理性的立場、先駆的立場が発揮されていることは重要であります。私は、次の四つの点に確信をもって、平和をとりもどすたたかいにのぞむことを訴えたいと思います。

基本姿勢――国連憲章と国際法を守り、国際世論の包囲で侵略を止める

 第一は、日本共産党のこの問題にのぞむ基本姿勢についてであります。

 わが党は、この問題への対応の最大の基準に、国連憲章と国際法をおいてきました。国連憲章と国際法を蹂躙しているのはどちらの側か、被害を受けているのはどちらの側か――このことを最大の基準にして危機への対応を行ってきました。

 事実は明瞭であります。ロシア・プーチン政権は、三つの無法を犯しています。

 第一は、武力の行使を禁止した国連憲章に違反した侵略であるということです。

 第二に、原発、病院、民間人への無差別の攻撃、さらに首都キーウの近郊の町・ブチャなどで明るみに出た多数の民間人の虐殺は、どんな性格の戦争でも、どんな国でも守らなければならない、ジュネーブ条約など国際人道法に反する戦争犯罪であり、厳しく非難され、裁かれなければなりません。

 第三に、プーチン政権が、核兵器大国であることを誇示し、たびたび核兵器の先制使用の威嚇を行っていることは、国連憲章および核兵器禁止条約に反する許しがたい暴挙であります。

 日本共産党は、ロシア・プーチン政権の無法を糾弾するとともに、「ロシアは侵略をやめよ」「国連憲章を守れ」の一点で、全世界の政府と市民社会が声をあげ、力を合わせることを呼びかけてきました。国際世論の包囲によって侵略を止めるために、その一翼を担って最後まで力をつくす決意であります。

 日本共産党は、日本の支援は、非軍事の人道支援が大切だとキッパリ表明するとともに、党として独自にウクライナ支援募金にとりくんできました。今日までに1億円を超える募金がよせられました。募金は、UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)、ユニセフ、国際赤十字に、順次お届けしています。募金へのご協力に深く感謝するとともに、引き続くご協力を心からお願いするものであります。

 この問題に対して、日本国内の一部に、ロシアとウクライナの双方に問題があるとして同列におく「どっちもどっち」論がありますが、これは道理がなく、国際社会では通用しないものです。日本共産党は、軍事同盟について、「軍事対軍事」の対抗と悪循環をもたらし平和に逆行すると批判し、軍事同盟のない世界を目指しています。この立場から、NATO(北大西洋条約機構)の東方拡大や域外派兵にきびしく反対してきました。しかし、軍事同盟の問題は、国連憲章を蹂躙したロシアの侵略の免責には決してなりません。プーチン政権は「NATOへの懸念」を口にしますが、かりに「懸念」があったとしても、隣国への武力攻撃を正当化する理由には決してなりません。侵略国と被害国を同列におく「どっちもどっち」論は、結局のところ、侵略国を免罪し、二つの世界大戦の惨禍を経てつくられた国連憲章にもとづく平和秩序の否定につながる議論といわなければなりません。

 日本共産党は、党の立場を各国政府に伝える活動にもとりくんできました。3月28日、わが党の井上哲士参議院議員団幹事長は、ロシアのガルージン駐日大使と会談し、わが党の見解を大使に直接伝えました。井上同志のNHK「日曜討論」での発言に、ロシア側が「遺憾」だとし、意見交換を求める手紙を送ってきた機会に、わが党の見解をロシア政府に具体的かつ詳細に伝えたのであります。大使は、ロシア軍の行動について「NATOの脅威」を理由にあげましたが、井上同志は「脅威があるからといって武力行使をする権利はどの国にも与えられていない」と批判しました。大使は、反論せず、「モスクワに報告する」と答えました。侵略国に対しても、日本共産党の立場を、直接に堂々と伝え、軍事行動の即時中止を求める活動を行ってきたことを、報告したいと思います。また、ロシア側がこうした会談を求めてきたこと自体が、プーチン政権が国際世論をいかに恐れているかを自ら示すものではないでしょうか。国際世論の力で侵略を止めようということを、重ねて訴えるものであります。

核兵器問題――核使用を絶対に許さず、地球規模の核兵器廃絶がいよいよ急務

 第二は、核兵器問題への対応であります。

 いま、ウクライナへの侵略のなかで、生物・化学兵器、さらに核兵器使用の現実的危険が生まれていることは、非常に重大であります。万が一にも大量破壊兵器が使用されれば、非人道的惨禍が起こるとともに、戦争の破局的な拡大を招きかねない極めて深刻な事態に陥ることになります。

 日本共産党は、生物・化学兵器の使用、核兵器の使用は絶対に許さない――この声を、いま全世界であげていくこと、とくに唯一の戦争被爆国・日本からあげていくことを強く呼びかけるものであります。

 同時に、核兵器の先制使用を国家の基本戦略(「核抑止の分野におけるロシア連邦国家政策の基礎」、2020年)に公然とすえ、自国民にどんな甚大な被害が出ようとも核兵器の使用をためらわない指導者が登場しているもとで、「核抑止」――核兵器を持っていれば核兵器の使用が止められるという核固執勢力の理屈が、無力になっていることは明らかであります。核兵器の使用を止める唯一の保障は、全世界から核兵器を廃絶することしかないことが、いよいよ明瞭になっています。「核兵器のない世界」をつくることは、文字通りの急務であり、核兵器禁止条約に唯一の戦争被爆国・日本が参加することは、待ったなしとなっていることを、強く訴えたいと思います。

綱領の世界論――危機は深刻だが、歴史は無駄に流れていない

 第三は、わが党綱領が明らかにしている世界論の重要性であります。

 ロシアのあまりの無法を目にして、21世紀の世界が、19世紀の弱肉強食が支配していた世界に戻ってしまったと思われる方もいるかもしれません。

 たしかに危機は深刻です。しかし歴史は無駄に流れていません。この大局的な見方が大切だと考えます。

 国連安全保障理事会は、ロシアの拒否権で十分に機能していませんが、国連は安保理が動かなくても、多面的な活動を行っています。国連総会の緊急招集が行われ、人権擁護の諸部門が懸命に活動しています。国際司法裁判所は、ロシアに軍事行動をただちにやめるよう暫定命令を出しました。国連総会の権限拡大など国連の民主的改革は必要ですが、「国連が無力」という議論は、事実と異なるものといわなければなりません。

 とくに2回にわたる国連総会決議――ロシアの軍事行動を侵略と断罪し、ロシア軍の即時無条件撤退を求めた3月2日の総会決議、ロシアの戦争犯罪を告発し、国際人道法の順守を求めた3月24日の総会決議が、国連加盟国の7割を超える140カ国以上の賛成で採択されたことは、歴史的意義をもつものであります。

 国連総会が、米国、旧ソ連、ロシアが行った侵略への非難決議を採択したのは、今回が6例目となりますが、140カ国以上の賛成は、過去最多となりました。賛成した国ぐにの半数以上は、非同盟・中立の国ぐにです。わが党は、2020年の綱領一部改定で、「植民地体制の崩壊と百を超える主権国家の誕生という、20世紀に起こった世界の構造変化は、21世紀の今日、平和と社会進歩を促進する生きた力を発揮している」との世界論を明らかにしましたが、「世界の構造変化」の力がここにも示されているのであります。

 4月2日付の「しんぶん赤旗」で紹介しましたが、国連総会特別会合で、侵略の本質を国連憲章にてらして明確に批判し、議論をリードしたのが、オーストリア、コスタリカ、アイルランド、ニュージーランドといった必ずしも大きくはない諸国だったことは注目すべきことです。

 オーストリアの国連大使は、国連総会で、「オーストリアは中立国であり、いかなる軍事同盟の当事者でもない。中立とは国際法のいわれなき不当な侵害に直面したとき、いかなる立場もとらないということではない。被害者と加害者を区別する明確な決議案を支持する」と表明しました。中立とは、無法な侵略を傍観するものではない。その通りだと思います。この立場は、平和・中立・非同盟の日本をめざす日本共産党の立場でもあります。これらの国ぐにが、いずれも核兵器禁止条約を推進する先頭に立ち、この人類的課題でわが党とも協力してきた国ぐにだったことも、重要な点であります。

 歴史は無駄に流れていません。ジグザグはあっても、大局においてとらえるならば平和の流れは着実に広がりつつあります。全党のみなさん。党綱領が明らかにした世界論の立場で現状をとらえ、確信をもって進もうではありませんか。

 ロシアとウクライナの停戦交渉が始まっていますが、この戦争をどういう形で終わらせるかは、世界の平和秩序の行方を左右する大問題であります。「国際世論の力で侵略を止め、侵略者に責任をとらせ、国連憲章にもとづく平和の国際秩序を回復する」という決着をつけるために、最後まで力をつくそうではありませんか。それは、私たちが住む東アジアにおいても新しい覇権主義の行動を抑える力となることを、強調したいと思います。

「どんな国であれ覇権主義を許さない」――党の歴史と綱領に確信をもって

 第四は、日本共産党が、「どんな国であれ覇権主義を許さない」という歴史と綱領を持つ党であるということであります。

 国民のなかから、「ロシアはもともとは共産主義ではないのか」という声も聞かれます。とんでもない誤解であります。

 旧ソ連が崩壊して31年になりますが、崩壊した体制は、もともと社会主義とは縁もゆかりもない覇権主義と専制主義の体制でした。そして、日本共産党は、旧ソ連によるチェコスロバキア侵略、アフガニスタン侵略などの覇権主義に対して「社会主義とは無縁」と徹底した批判を貫いてきた自主独立の党であります。旧ソ連から、ソ連言いなりの分派をつくって党を転覆させようという激しい干渉攻撃を受けましたが、党の生死をかけてそれをはねのけ、ソ連共産党が解体したさいには、「大国主義・覇権主義の歴史的巨悪の党の終焉(しゅうえん)を歓迎する」という声明を出したのが日本共産党であります。

 日本共産党は、日ロ領土問題でも、政府が掲げている「4島返還」という方針ではなく、ロシア覇権主義による第2次世界大戦の戦後処理の不公正をただす抜本的政策――全千島列島の返還という方針を堂々と主張し続けている党であります。わが党の領土政策に対して、ウクライナ侵略を契機に、「一番筋が通っている」との新たな注目が寄せられていることは、重要であります。

 わが党は、2020年の綱領一部改定で、つぎの命題を書き込みました。

 「どんな国であれ覇権主義的な干渉、戦争、抑圧、支配を許さず、平和の国際秩序を築く」

 「どんな国であれ」と書いてあるところが重要であります。ここには、相手が、アメリカでも、中国でも、ロシアでも、どんな国であれ覇権主義を許さないという立場を貫いてきた日本共産党の歴史と体験、そして決意が刻み込まれています。全党のみなさん。この党の歴史と綱領に確信と誇りをもって、国民に広く伝えていこうではありませんか。

 日本外交には、覇権主義への追随という致命的な弱点があります。その弱点は、対ロシア・安倍外交に集中的にあらわれました。安倍元首相は、欧州諸国がロシアのクリミア併合への経済制裁をしている最中に、プーチン大統領と「4島」での日ロ共同経済活動で合意しました。「ウラジーミル、君と僕は同じ未来を見ている」と語り、「27回も食事をしてきた」と自慢し、日ロ領土問題では、「4島返還」という政府の従来の立場からも後退して、事実上「2島返還」で終わりという立場への一方的譲歩を行いました。こうした態度が、プーチン大統領の覇権主義を増長させる一因となったことは明らかではありませんか。

 ロシア覇権主義に媚(こ)びをうってきた安倍外交、それを外務大臣として支えてきた岸田首相の責任が厳しく問われています。そのことへのまともな反省もせずに、危機に乗じて、憲法9条改憲の旗振りをするなど絶対に許されるものではありません。

三、戦争か平和か――日本の進路が根本から問われる選挙

 さて、参議院選挙で何が問われるか。争点がくっきりと浮き彫りになりつつあります。

 岸田自公政権が発足して半年が経過しました。岸田首相は、当初掲げた富裕層優遇の金融所得課税の是正など、従来の政治を多少とも変える主張は、すべて取り下げ、破綻した安倍・菅政治の継続という姿勢を明瞭にしています。さらに、憲法9条改定など前任者でもできなかった危険に手を染めようとしています。

 日本共産党は、岸田政権に、太いところで対決し、太いところで対案を示して、たたかいぬくものであります。

危機に乗じた9条改憲を許さず、9条を生かした平和の外交戦略を

 何よりも、参議院選挙は、戦争か平和か――日本の進路が根本から問われる選挙になります。

 いま、ロシアのウクライナ侵略に乗じて「戦争する国」づくりの大合唱が起こっています。日本共産党は、この逆流に正面からたちはだかり、「危機に乗じた9条改憲を許さず、9条を生かした外交で東アジアを平和な地域に」と訴えぬいてたたかいます。

 ロシアの侵略を見て、また日本をとりまく状況を見て、「日本の平和は大丈夫か」という心配の声があります。しかし、相手が「軍事、核兵器、力の論理」できたとき、こちらも「軍事、核兵器、力の論理」で対抗すればどうなるでしょうか。「軍事対軍事」の悪循環に陥り、それがエスカレートすることが一番危険ではないでしょうか。憲法9条を生かし、東アジアを平和な地域にする外交戦略こそ、いま必要ではないでしょうか。

岸田政権、維新の会の危険な暴走――平和を壊す「翼賛体制」を許さない審判を

 一番危険な道を行くのが岸田政権であります。

 いま岸田首相が、危機に乗じて叫んでいるのが、「日米同盟の強化」と憲法9条改定です。岸田首相は、「敵基地攻撃能力の保有検討」を繰り返していますが、「敵基地攻撃」とは一体どういうものか。それはミサイルを一発撃つという話ではありません。相手国の領域にのりこみ、レーダーや対空ミサイルなどをしらみつぶしに破壊し、さらに制空権を確保して、地下施設を含めて大規模な空爆を行う――相手国を焼け野原にするような一連のオペレーション(作戦)を行うことを「選択肢の一つ」だと岸田首相は国会答弁で認めました。岸防衛大臣は、相手国の領空に入って軍事拠点を爆撃することも「排除しない」と答弁しました。

 重大なことは、いま議論されている「敵基地攻撃」というのは、かつて議論されてきたものとまったく違うものだということです。安保法制が強行される以前に議論されてきた「敵基地攻撃」は、専守防衛を建前とする自衛隊を前提としていました。しかし、いま議論されている「敵基地攻撃」とは、集団的自衛権行使を可能にする安保法制のもとでの「敵基地攻撃」というところに新しい重大な危険があります。すなわち日本が攻撃されていなくても、アメリカが戦争を始めれば、アメリカの相手国に対して、自衛隊が米軍と一体に「敵基地攻撃」をしかけることになります。それは、「日本を守る」こととは全く無縁であり、相手国から見れば先制攻撃そのものになります。

 これを日本国憲法が永久に放棄した「戦争」と呼ばずして何と呼ぶのか。いま議論されている安保法制のもとでの「敵基地攻撃」が、憲法9条とは絶対に相いれないものであることは明らかではありませんか。だからこそ、こうした危険な道に大きな歯止めになってたちはだかっている憲法9条を改定しようというのであります。

 全党のみなさん。危機に乗じて憲法9条を改定し、日本を「軍事対軍事」の危険な道に引き込む動きに、日本共産党の躍進でストップの審判を下そうではありませんか。

 さらに悪質なのが維新の会であります。維新の会は、安倍元首相と一体に、日本とアメリカで核兵器を共有する「核共有」の議論を党の公式の方針に掲げています。この動きに対して、日本被団協が「日本国民を核戦争に導く危険きわまりない提言」と抗議し、撤回を求める声明を発表するなど、強い批判の声があがっているのは当然です。ウクライナ侵略で、プーチン大統領が核兵器を使用する現実の危険があるときに、「日本も核を持つ」という議論を始めること自体が、どんなに危険なことかをこの政党は理解できないのか。世界の国ぐにが「核を持つ」という方針をとったら、人類は文字通り滅亡の淵においやられることになります。こんな方針を党の公式の方針に平然と据える党に、被爆国の政党の資格はないと、私は強く批判したいと思います。

 国民民主党は、政府予算案に賛成することで、事実上の与党宣言を行いましたが、この党も9条改憲の旗振りをし、「敵基地攻撃」に事実上賛成し、「核共有」について検討が必要と言明しています。

 全党のみなさん。参議院選挙では、日本共産党の躍進で、自民党・公明党・維新の会・国民民主党による、平和を壊す「翼賛体制」を許さない審判を下そうではありませんか。

日本共産党の「外交ビジョン」――9条を生かし東アジアを平和と協力の地域に

 どうやって東アジアを平和な地域にしていくか。

 日本共産党は、抜本的対案を示しています。私たちが注目しているのは、ASEAN(東南アジア諸国連合)のとりくみです。ASEANは、東南アジア友好協力条約(TAC)を締結し、あらゆる問題を平和的な話し合いで解決する努力を徹底して積み重ね、東南アジアに平和の地域共同体をつくりあげてきました。さらにASEANは、この流れを域外に広げ、ASEAN10カ国と日米中など8カ国で構成する東アジアサミット(EAS)を強化し、ゆくゆくは東アジア規模での友好協力条約を展望しようという壮大な構想を明らかにしています。2019年のASEAN首脳会議で採択されたASEANインド太平洋構想(AOIP)であります。

 いま日本政府がとりくむべきは、「敵基地攻撃」などという物騒な話ではなく、ASEAN諸国と手を携え、東アジアサミットという、すでにつくられている平和の枠組みを活用・発展させて、東アジアを平和と協力の地域にしていくための憲法9条を生かした平和外交ではないでしょうか。わが党は、この方向にこそ東アジアに平和をつくる唯一の道があると確信するものであります。

 こうした日本共産党の「外交ビジョン」は、軍事同盟のような外部に敵を想定する排他的アプローチでなく、包括的アプローチ――地域的な集団安全保障体制をつくっていくというものにほかなりません。私は、これこそが国連憲章の本来の精神にたった外交構想であることを強調したいと思います。またそれは、「あらゆる紛争を戦争にせず、話し合いで解決する」という憲法9条の精神を生かした提案であることを訴えたいと思います。

 全党のみなさん。この「外交ビジョン」を高く掲げ、その実現のためにも日本共産党の躍進をと訴えて、頑張りぬこうではありませんか。

9条を守り生かすことと、命と主権を守りぬくことの両方を、統一的に追求する

 ここで憲法9条と日本の平和について、さらにわが党の立場を表明したいと思います。

 ロシアの蛮行を見て、「憲法9条で平和を守れるか」という声も聞きます。もちろん、憲法9条を持っているだけで平和が訪れるわけではありません。今お話ししたように、憲法9条を生かした積極的・能動的な外交を積み重ねてこそ、平和をつくりだすことができる――これが日本共産党の立場であることを、まず強調したいと思います。

 それでも、憲法9条を生かした日本政府のまともな外交努力がないもとで、「外交だけで日本を守れるか」というご心配もあるかもしれません。それに対しては、東アジアに平和な国際環境をつくる外交努力によって、そうした不安をとりのぞくことが何よりも大事だということを、重ねて強調したいと思います。同時に、万が一、急迫不正の主権侵害が起こった場合には、自衛隊を含めてあらゆる手段を行使して、国民の命と日本の主権を守りぬくというのが、日本共産党の立場であります。

 わが党は、綱領で、憲法9条の完全実施に向けて、国民多数の合意で、自衛隊問題を段階的に解決していく方針を明確にしています。その重要な第一歩は、安保法制を廃止して、海外派兵の自衛隊を、文字通りの専守防衛を任務とする自衛隊に改革することにあります。こうした立場で、急迫不正の主権侵害にさいしては自衛隊を活用します。

 ここで強調しておきたいのは、憲法9条は、戦争を放棄し、戦力の保持を禁止していますが、無抵抗主義ではないということです。憲法9条のもとでも個別的自衛権は存在するし、必要に迫られた場合にはその権利を行使することは当然であるというのが、日本共産党の確固とした立場であることも、強調しておきたいと思います。

 世界に誇る憲法9条を将来にわたって守り生かすことと、国民の命と日本の主権を守りぬくための政治の責任を果たすことの両方を、統一的に追求するというのが、日本共産党の立場であります。9条も命もどちらも守りぬく――全党のみなさん。わが党のこの立場を、広く国民に伝えていこうではありませんか。

四、新自由主義を転換し、「やさしく強い経済」をつくろう

「やさしく強い経済」をつくるための五つの大改革

 参議院選挙に向けて、暮らしと経済をめぐっても、重大な対決点が浮き彫りになっています。それは弱肉強食の新自由主義を続けるのか、それとも根本から転換するのかという対決点であります。

 新型コロナ・パンデミックを体験して、新自由主義が世界的に破綻するもとで、岸田首相も「新自由主義の弊害を乗り越える」とのべました。しかし、それは口先だけのものです。新自由主義の名で進められてきた労働法制の規制緩和、社会保障の連続削減、消費税の連続増税など、破綻した路線を無反省につきすすむというのが、岸田政権の実態であることは、国会論戦などをつうじてすでに明瞭であります。

 日本共産党は、参議院選挙で、「新自由主義を転換し、『やさしく強い経済』をつくろう」ということを訴えてたたかいます。

 わが党は、「やさしく強い経済」をつくるための五つの大改革を提案しています。(1)政治の責任で「賃金が上がる国」にする。(2)社会保障と教育予算を経済力にふさわしく充実する。(3)富裕層と大企業に応分の負担を求め、消費税を5%に減税する。(4)気候危機打開の本気のとりくみを行う。(5)ジェンダー平等の視点を貫く。以上の五つの大改革であります。

 これらの改革の提案は、財界中心の政治に根本からメスを入れる日本共産党ならではの提案であります。報告では、わが党の提案のもつ先駆的意義について、いくつかの角度からのべたいと思います。

わが党の提案は、国民多数の願いにこたえ、響きあっている

 第一は、わが党の提案が、国民の圧倒的多数の願いに合致しているということです。

 読売新聞が、3月27日に発表した格差に関する全国世論調査は、たいへんに興味深い結果を明らかにしています。この調査では、日本の経済格差が「深刻」だと答えた人が88%にのぼりました。格差縮小のため政府が優先すべき対策については、回答が多かったものの順に、「賃金の底上げ」が51%、「大企業や富裕層への課税強化など」が50%、「教育の無償化」が45%、「社会保障の充実」が43%、「正規雇用への転換」が30%などとなりました。

 この結果を見ても、わが党が提唱する「やさしく強い経済」の政策が、国民多数の願いにこたえ、響きあっていることが確認できるのではないでしょうか。とくにわが党が一貫して熱心に訴えてきた「大企業や富裕層への課税強化」が多くの国民の願いになり、上位を占めたことは注目すべきことではないでしょうか。

物価高騰という現在の経済情勢のなかで、いよいよ重要に

 第二に、強調したいのは、わが党の提案が、物価高騰という現在の経済情勢のなかで、いよいよ重要になっているということであります。

 現在の物価高騰と国民生活の困難は、偶然のものではなく、三つの要因が複合的に重なったものであります。第一に、新型コロナからの経済回復にともなう世界的な需要増によって原油や小麦、輸送価格などが上昇しました。第二に、「異次元の金融緩和」とよばれる日銀の金融政策による円安によって、輸入品価格が上昇しました。第三に、ロシアのウクライナ侵略と経済制裁によって、エネルギーや小麦価格などがさらに上昇しました。新自由主義、とくにアベノミクスによって日本経済が「もろく弱い経済」になってしまっている、その矛盾がこうした形で噴き出しているのであります。

 したがって、これに対する対策としては、あれこれの緊急策にとどまらず、新自由主義を終わりにして「やさしく強い経済」をつくる方向での経済政策の抜本的転換が強く求められます。

 ――消費者物価、企業物価の上昇のもとで、消費税の5%への減税、インボイス(適格請求書)の中止はいよいよ急務になっています。

 ――物価上昇ですぐに暮らしが困窮してしまうのは「賃金が上がらない国」になってしまっているからです。政治の責任で賃金の大幅引き上げをはかることは、国民の生活防衛のためにも、物価値上げに耐えられる経済のためにもいよいよ必要になっています。

 ――物価上昇のもとでの年金減額など、社会保障切り捨て政策を抜本的に切り替えることもいよいよ重要となっています。

 全党のみなさん。現在の経済危機を打開する答えは、「やさしく強い経済」をつくる方向にあるということを、大いに訴えていこうではありませんか。

新しい政策的発展――大企業の内部留保課税の提案

 第三に、報告しておきたいのは、わが党が、2月24日、新しい政策的発展として、大企業の内部留保課税の提案を行ったことです。

 アベノミクスで大企業の内部留保は空前の規模に膨れ上がりました。その一因は行き過ぎた大企業への減税にあります。内部留保の積み増しにまわされた減税の一部を、課税によって返してもらおうというのが、私たちの提案であります。

 わが党の大企業の内部留保課税の提案は「一石三鳥」の効果があります。第一に、それは安倍自公政権が行った大企業減税の不公正をただすことになります。第二に、課税のさいに適切な控除を設けることで、大企業の内部にたまっている資金が、「賃上げ」と「グリーン投資」にまわることになります。第三に、この課税で生まれる10兆円の新たな財源をつかって、最低賃金を時給1500円に引き上げます。こうして、大企業で働く労働者も、中小企業で働く労働者も賃上げが進み、「グリーン投資」が促進されることになります。

 国会でわが党議員がこの提案を行ったところ、岸田首相も「成長の果実が内部留保だけでなく賃金や設備投資に向けられることが重要」「内部留保への課税は一つの手法」と否定できませんでした。

 この提案は、財界中心の政治のゆがみに切り込む日本共産党ならではの提案として、どこでも強い共感の反応が返ってきます。全党のみなさん。この提案を広い国民に伝え、日本共産党の躍進でその実現に道を開こうではありませんか。

気候危機打開とジェンダー平等――経済政策でも重要課題に

 第四に、わが党は、気候危機打開とジェンダー平等を、「やさしく強い経済」をつくるうえでも重要課題に位置づけています。

 日本共産党は、気候危機打開にむけて「2030戦略」(2021年9月1日)を提案していますが、このとりくみは人類にとっての死活的な緊急課題であるとともに、大きな経済効果があります。

 また、原油価格高騰は、エネルギーを外国に頼ることがどんなに危ういかを示しています。緊急の対策としてガソリン税の軽減なども検討されるべきですが、根本的対策として、省エネルギー・再生可能エネルギーの大規模推進によるエネルギーの自給に大きく足を踏み出すことが、真の意味での「エネルギーの安全保障」にとっても急務となっています。

 日本共産党は、「ジェンダー平等へ いまこそ政治の転換を」(2021年10月1日)を提案していますが、ジェンダー平等の視点を貫くことは、結果として、「やさしく強い経済」をつくることにもなります。

 わが党の提案は、すでに政治を動かしています。わが党は、男女の賃金格差是正のために企業に格差の公表を義務付ける提案を行い、国会論戦で連続的に提起するもとで、政府から前向きの答弁を引き出しました。その後、金融庁は3月29日、男女の賃金格差を是正するため、上場企業などが提出する「有価証券報告書」の中で、男女別の賃金の開示を義務づける方針を明らかにしました。厚生労働省は、女性活躍推進法にもとづく情報開示を検討、着手することを表明しました。ジェンダー不平等・日本の根源にある男女賃金格差解消のために引き続き力をつくそうではありませんか。

 気候危機打開とジェンダー平等をめざすわが党の政策的提起は、総選挙でも新鮮な共感を広げました。それぞれについての党の政策的提起を大いに訴えながら、「やさしく強い経済」とのかかわりでもその意義を豊かに語っていくようにしたいと思います。

 「新自由主義を転換し、『やさしく強い経済』を」――日本共産党の政策提起は、広範な国民の共感と支持を必ず得られるものと確信するものです。全党のみなさん。わが党の提案の先駆的意義をつかみ、国民の切実な暮らしの願いにこたえ、「やさしく強い経済」をつくるわが党の政策を、縦横に語っていこうではありませんか。

五、市民と野党の共闘――共産党の躍進で、本格的発展にむけた新たな土台をつくろう

 市民と野党の共闘の到達点と展望について報告します。

 3月18日、日本共産党と立憲民主党の党首会談が行われ、「現政権に厳しい審判を下すために、参院選1人区での候補者調整の協議を開始」することで合意しました。合意の具体化のための努力を始めています。参議院選挙で、野党共闘が次につながる成果をあげることができるように、力をつくします。

 野党共闘が掲げる政策的課題としては、野党共闘の「一丁目一番地」である安保法制廃止・立憲主義回復がいよいよ重要かつ不可欠になっていること、憲法9条改定を許さないという立場を野党が共有することがきわめて重要であることを、とくに強調したいと思います。

 野党共闘への妨害や障害は激しいものがあり、率直に言って前途には大きな困難も予想されます。それをはねのけて、野党共闘の本格的な発展をかちとるには、参院選での日本共産党の躍進が決定的に重要であります。

 過去をふりかえっても、2015年から始まった市民と野党の共闘の推進力になったのは、13年~14年にかけての東京都議選、参院選、総選挙での日本共産党の連続躍進でした。再び参院選で、日本共産党の躍進をかちとり、共闘の本格的発展にむけた新たな土台をつくろうではありませんか。

 日本の政治を変える道は、市民と野党の共闘しかありません。そのことは6年半の実践で証明された事実であります。そして、その道のりは容易ではありませんが、安保法制廃止・立憲主義回復などの緊急の課題を実現するための野党連合政権をつくることは、日本の政治の必然的発展方向であります。わが党は、この立場を揺るがずに貫きます。

 そのためにいま最大の力を注ぐべきは、日本共産党自身が力をつけることであります。全党のみなさん。参院選では、日本共産党の勝利を最優先の課題におき、あらゆる力を集中して、必ず躍進を果たそうではありませんか。

六、参院選躍進に向け宣伝・組織活動の力強い前進の流れをつくりだそう

 参議院選挙の躍進に向けた宣伝・組織活動について報告します。

活動の到達点――いま党活動を飛躍させる条件は大いにある

 参院選躍進をめざす活動の到達点については、次の通りであります。

 2月以来とりくんできた「第1次全国遊説」の演説会は、40都道府県・84カ所で開催され、5万6千人が参加し、演説会を大きく成功させたところでは、参院選に向けた宣伝・組織活動に明らかな前向きの変化と飛躍がおこりつつあります。対話は110万人、支持拡大は62万5千人、担い手広げは26万2千人と、目標には大きな距離を残していますが、3月に入って一定の変化をつくりだしつつあります。

 4中総以降、党員拡大では、新たに780人の同志を党に迎えました。大激動の情勢のもとで新たに入党された仲間のみなさんに、幹部会を代表して心からの歓迎のあいさつを送ります。党員拡大と読者拡大では、全党の奮闘で新たな党員と読者を増やしてきましたが、減少を上回ることができず、現勢での後退が続いています。何としても4月を前進に転ずる月にしていきたいと思います。

 参議院選挙の現時点での情勢判断は、2月9日の幹部会で確認した情勢判断――「現在のとりくみの延長線上では、参院選の目標達成はおろか、現有議席からの後退の危険が存在する」という情勢判断を、前向きに変更するにはいたっていないことを、率直に報告しなくてはなりません。

 同時に私は、いま党活動を飛躍させる条件は大いにあることを訴えたいと思います。すでにのべてきたように、平和でも、暮らしでも、岸田自公政権と正面から対決し、それに代わる新しい日本の進路を旗幟(きし)鮮明に掲げている政党は、日本共産党をおいてほかにありません。野党共闘を揺るがずに推進する点でも、日本共産党の果たしている役割はかけがえないものであります。

 いまウクライナ侵略などの世界的危機を目にして、また、日本の平和と憲法が危うくなるという状況を前にして、広い国民のなかで平和への強い願いがわきおこっています。その願いをしっかりと受け止められるのは、党をつくって100年間の歴史で試された反戦・平和の党――日本共産党であります。まさに日本共産党の頑張りどころの情勢ではないでしょうか。いま他党にない、日本共産党ならではの値打ちを広げきるならば、大激戦の参院選で勝機をつかむことは必ずできるし、何としても勝機をつかむ大奮闘を展開することを、私は心から訴えたいのであります。

 「しんぶん赤旗」で、同志社大学教授の浜矩子(のりこ)さんは、「日本共産党に大きな期待をかけたい。主義主張を前面に出していただきたい」、「勇気を持って批判の声をあげる政党の存在が、日本の政治の中で切実に求められています」、「共産党の魂の狼煙(のろし)をあげていただく局面にきていると、つくづく思います」との激励のメッセージをよせてくださいました。

 神戸女学院大学名誉教授の内田樹(たつる)さんは、「共産党は『正しい政策を掲げる』点で首尾一貫しています」、「どの方向に進むべきかを明確に示せない政党ばかりの中で、共産党には日本の行く先を示す指南力のある政党であって欲しいと思います」との期待のエールをよせてくださいました。

 日本共産党は、共産党ならではの理想を堂々と訴え抜いて、勝ち抜いてほしいという期待であります。全党のみなさん。この期待に応える大奮闘をしようではありませんか。

勝利のためにやるべきことは明瞭――大量宣伝、対話・支持拡大、党勢拡大

 参議院選挙の目標としては、政党を選ぶ比例代表選挙を、選挙戦と党活動の文字通りの軸にすえ、「650万票、10%以上」を獲得して、5人の比例代表予定候補の全員勝利をかちとることを、全党の決意としてあらためて銘記して奮闘したいと思います。選挙区では、大激戦となっている東京の現有議席を絶対に確保し、埼玉、京都、大阪、神奈川などでの議席増に正面から挑戦しようではありませんか。

 全国の都道府県委員長のみなさんに、この会議にむけて活動の教訓と問題点についての報告を提出していただきました。それも踏まえて、以下、活動の強化方向について報告したいと思います。

 「元気の出る政治指導・実践活動」……まず強調したいのは、「元気の出る政治指導」「元気の出る実践活動」を何よりも重視し、全党が明るく元気に選挙戦に立ち向かう状況をつくりだすことであります。

 総選挙以来の支配勢力による日本共産党攻撃にくわえて、ロシアのウクライナ侵略に乗じた憲法9条への攻撃に直面して、党の一部に「情勢に押された気分」が生まれています。各県からの報告でも、それを吹っ切る政治指導、国民のなかに打って出る実践活動にとりくんだところで、わが党本来の活力がわきおこり、参院選躍進にむけた諸課題の飛躍がつくられつつあることは重要な教訓であります。

 5中総までに4中総決定の全党員・全支部への徹底をやりぬくとともに、今日の幹部会報告をすみやかに全党のものにする政治指導に力をそそぐことを訴えるものです。

 勝利のためにやるべきことは明瞭であります。端的に3点、提起をします。

 全有権者対象の大量宣伝を……第一は、全有権者を対象にした大量宣伝、SNSを活用した発信に、思い切って力をそそぐことであります。ウクライナ侵略、憲法9条についての日本共産党の立場を知らせる宣伝に、全党あげてとりくみ、平和の風を日本列島のすみずみに届けましょう。政策ポスター・連名ポスターを5中総までに一枚残らず張りだしましょう。宣伝カーとハンドマイクをフル出動させて、駅頭や街角での声の宣伝を思い切って重視しましょう。4月から公示日までにとりくまれる「第2次全国遊説」を、街頭演説会を中心に、リアル参加を重視しつつ、史上最大規模で成功させ、党躍進のとりくみの跳躍台にしようではありませんか。

 対話と支持拡大で飛躍を……第二は、対話と支持拡大で飛躍を必ずつくりだすことであります。「はてな」リーフ1340万部を一枚残らず活用し、5中総までに「第1次折り入って作戦」をやりぬき、1千万対話を突破しましょう。

 「はてな」リーフは、党への疑問に答え、誤解をときほぐし、積極的支持者を増やす「戦略的宣伝物」として、絶大な力を発揮しています。埼玉県から次のような報告が寄せられました。

 「ある自民党員の自治会長は、訪問した党員に、『9条変えろ、核兵器を持てという自民党は危ない、絶対に戦争はだめだ。共産党頑張れ』と声をかけてきた。その方は『はてな』リーフを手にして『全部納得した』と逆に訪ねた党員にページを開いて一つ一つ解説をはじめた」、「無所属の県議は、リーフを読んで『こういうのを待っていた』と感想をのべ、リーフ増刷のための募金を呼びかけていると話すと5000円をカンパしてくれた」

 うれしい報告であります。

 「綱領を学びながらたたかう」選挙に……全国各地の支部で、「はてな」リーフを読み合わせし、綱領の基本点をつかみ、これなら訴えられると足を踏み出している経験が生まれています。今回の選挙は、党綱領路線を語る私たちの理論的、政治的な力が試される選挙になります。「綱領を学びながらたたかう」選挙にしていくことを強く訴えたいと思います。

 4中総の結語では、討論のなかで出された要望にこたえて、党綱領について、「国民にわかりやすい資材」をつくることをお約束しました。この決定を踏まえ、「しんぶん赤旗」の新入局員のみなさんにおこなった綱領講義を大幅に整理・加筆して『新・綱領教室』(上下)を出版しました。綱領に対する自民党など支配勢力による攻撃を、根底から打ち破る内容にすることを、仕上げにあたって心掛けました。ぜひ活用していただければと思います。

 昨日の幹部会では、「今度の選挙では学習に思い切って力を入れる決断が必要だ。学習なくしてこの激しいたたかいに勝ち抜けない」という発言がありました。その通りだと思います。党機関も、党支部も、一人ひとりの党員も、綱領を学びながらたたかい、理論的にも政治的にも強い党をつくりながら、激烈な選挙戦を勝ち抜こうではありませんか。

 党員と読者拡大で前進を……第三は、宣伝・対話の飛躍と一体に、党員拡大と「しんぶん赤旗」の読者拡大を独自に追求し、この4月から前進に必ず転じ、党勢の上げ潮のなかで参議院選挙をたたかうことであります。

 世代的継承を中軸とした党員拡大は、党の自力を強める根幹であります。「第2次全国遊説」とも結んで「集い」を無数に開き、対象者をお誘いし、入党の働きかけを大規模に行おうではありませんか。

 青年・学生、労働者、真ん中世代での党員拡大で、新しい意欲が広がっていることは重要であります。この間、中央は、都道府県の青年・学生部長会議、組織部長会議、職場支部援助担当者会議を連続的に行い、中央自身の率直な自己検討も明らかにしつつ、世代的継承のとりくみの強化をどうはかるかについて、全国のみなさんとともに探求・促進してきました。そのことも契機になって、各県からたくさんの変化、決意が報告されていることはうれしいことであります。

 ある県からは、「青年・学生、職場、真ん中世代の三つの専門部が元気に活動を始めており、党中央の分野別の会議は大いに刺激になっている」「世代的継承の分野で目に見える成果をあげていきたい」との決意が寄せられました。参院選躍進のうえでも、党の将来を展望しても、世代的継承のための系統的なとりくみをお互いに握って離さず、うまずたゆまず前進させようではありませんか。

 民青同盟員の拡大が、党と民青の共同の事業としてとりくまれ、12月から4月5日までに、15年ぶりの成果をかちとった昨年同時期を上回る532人が加盟し、民青が元気いっぱい活動していることは大きな希望であります。4月17日に民青主催で行われる「科学的社会主義」をテーマにした「学生オンラインゼミ」を成功させ、新入生歓迎運動と民青拡大のとりくみを飛躍させましょう。このなかで青年・学生党員の拡大を前進させましょう。

 ウクライナ侵略に乗じて「戦争する国」づくりの大合唱が行われるもとで、少なくない巨大メディアが、時流に流され、「力の論理」を信奉する逆流にのみ込まれるという状況が起こっています。テレビでも、軍事専門家を登場させての「戦況解説」に終始し、この戦争の本質をどうとらえるのか、国連総会などで起こっている平和の流れなどについて、ほとんど報道されないという状況があります。それは全体として、国民を戦争へと誤導しかねない危うさをはらんでいるといわなければなりません。

 そうしたもとで、ウクライナ問題の本質を国連憲章と国際法という観点から冷静に解き明かし、時流に屈せず、危機に乗じた「戦争する国」づくりに正面から反対する論陣を張り続ける「しんぶん赤旗」の役割は、“闇夜を照らす理性のかがり火”とも呼ぶべきかけがえのないものではないでしょうか。この国民的メディアを大きくすることに、日本の将来はかかっています。読者拡大でもこの4月から必ず前進へと転じようではありませんか。全党のみなさんの大奮闘を心から訴えるものであります。

コロナ対策と党活動――感染対策をとりつつ、「リアルに集まる」ことを重視しよう

 参院選躍進の活動を前進させるうえでも、新型コロナ対策と党活動についてのべておきたいと思います。

 コロナ危機のもとでも、知恵を出し合って党活動を維持・発展させる努力が続けられてきました。同時に、支部と党機関の会議、「集い」、演説会などに「リアルで集まる」ということが、中央としての意識的な追求が不十分だったことともあいまって、弱まっている傾向があります。これでは党のもつ活力を十分に発揮することはできません。

 この間の教訓でも、街頭演説会などへのリアル参加を思い切って重視したところで、選挙勝利に向けた勢いが生まれています。感染対策に万全を期しつつ、オンラインも適切な形で活用しつつ、「リアルに集まる」ことを思い切って重視していくことを、呼びかけたいと思います。

中間地方選挙に勝ち抜き、得票増に転じよう

 中間地方選挙について報告します。4中総後の中間選挙では、日本共産党は議席で前回比13減、得票で前回比85%、衆院比例票比94%にとどまり、後退傾向を打開するにはいたっていません。

 そのもとでも得票数・得票率をのばして議席を確保した経験は貴重であります。4中総後に2市4町で空白克服に挑戦し、候補者を擁立した自治体すべてで勝利をかちとりました。4月3日投開票の東京・清瀬市の定数2の市議補選では、告示の10日前に決定した藤本いせ子候補が、衆院比例票の1・24倍の得票を獲得し、2位で当選しました。最大の勝因は、市政をめぐる問題とともに、ウクライナ問題を重視し大量宣伝にとりくんだこと、5000人の後援会員に「はてな」リーフを届け、協力依頼を進めたことにあったと報告されています。

 参院選までの中間地方選挙で、わが党は108市町村で候補者を擁立してたたかいます。そのうち4月は、10日以降に、78市町村の選挙が集中し、補欠選挙でも9区市で候補者を擁立してたたかいます。この点でも、4月は参院選勝利にとって決定的に重要な月となります。一つひとつの選挙を参院選勝利と一体にたたかい、全員勝利と得票増をかちとり、党の新しい前進の流れをつくりだそうではありませんか。

 3月までに決定をめざしてきた統一地方選挙の候補者は、道府県議で113名決定・内定となり、現職区での未決定は12選挙区であります。政令市議の決定・内定は前回当選数は超えましたが、現職区での未決定が残されています。特別区は政治目標に対し約2割が未決定であります。市町村議選は未決定が4割残っています。特別の体制をとって、5中総までに予定候補者を必ず決め切りましょう。参院選・統一地方選一体のとりくみにしていこうではありませんか。

党機関も支部も、臨戦態勢のすみやかな確立を訴える

 報告の最後に、党機関も、支部・グループも、地方議員も、文字通りの臨戦態勢をすみやかに確立することを心から訴えます。

 ――都道府県と地区委員会、自治体・行政区の補助指導機関は、「毎日集約」の態勢をつくりましょう。この点では、党機関の長の姿勢が決定的に重要であります。3月に、読者拡大で前進を切り開いた富山県から、次のような報告が寄せられました。

 「転機となったのは、3月2日の参院選闘争本部の訴えを受けたブロック別県委員長会議で、私自身が、参院選必勝モードになっていない、原因と打開の方向について、得心したことであると思っている。…結果は、入党者は6人、3地区とも入党者を迎えたのは2020年1月以来となった。…3月に日刊紙、日曜版ともに前進したのは12年ぶりとなった。…対話・支持拡大に取り組んだ支部は27%から88%に広がった」

 いかに党機関の長の姿勢が決定的かを浮き彫りにする報告でした。この姿勢に学びたいと思います。

 ――支部としての最大の臨戦態勢は、週1回の支部会議を開催することを軸に、励まし合って選挙戦をたたかいぬく連絡・連帯網をつくることであります。そのために、支部の実情におうじた個別の指導・援助が決定的に大切になっています。北海道から、次のような十勝地区委員会の経験が報告されました。

 「十勝地区委員会では、全支部が得票目標をもち、対話・支持拡大、宣伝回数のすべてで全道トップの水準をつくり、党員拡大で30人を超える働きかけで入党者を迎え、読者拡大でも、日刊紙・日曜版ともに、2カ月連続で前進をつくっている。…重視しているのは、支部への個別指導で『立ち上がるところまで援助し抜くこと』を活動の基準にして、お互いを激励しあい、切磋琢磨(せっさたくま)して奮闘している。『支部の臨戦態勢の最大の保障は、週1回の支部会議開催にあること』を重視して、3月は57%の支部が週1回の支部会議を開催し、臨戦態勢に入っている」

 「個別指導で『立ち上がるところまで援助し抜く』」――十勝地区委員会のこの姿勢に学びたいと思います。

 こうした個別指導を行う上でも、地方議員、職場を退職した同志を含め、党のもつ潜在力を総結集し、党機関の臨時の選挙態勢の強化をはかろうではありませんか。

七、情勢の大激動のもと、日本共産党の真価を発揮した大奮闘を

 全党のみなさん。参議院選挙は、戦争か平和か――文字通り日本の進路が問われる歴史的たたかいとなっています。コロナ・パンデミックの教訓を生かして、どういう経済をつくるのかも熱い争点となっています。

 情勢の大激動のもと、党創立100周年の年にたたかわれる政治戦で、反戦・平和、民主主義、国民の苦難軽減のために一筋にたたかってきた、日本共産党の真価を発揮した大奮闘で、必ず躍進をかちとろうではありませんか。その決意をお互いに固めあって、報告といたします。ともに頑張りましょう。


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