2022年4月5日(火)
きょうの潮流
かつて人種隔離が行われ、黒人と白人が別々の学校で学ぶことが「平等」だった米国。公立学校で人種を隔離する南部の州法は違憲と連邦最高裁が判断したのは1954年でした。公民権運動が広がる契機となる判決。その判断を下した9人の判事は実はみな白人男性でした▼最高裁設置から233年、歴代115人の判事のうち、7人を除くすべてが白人男性です。初の黒人男性サーグッド・マーシャルが就任したのは67年。サンドラ・デイ・オコナーが初の女性判事となったのが81年です▼バイデン大統領は、引退するリベラル派判事の後任に連邦控訴裁のケタンジ・ジャクソン判事を指名。上院が承認すれば、黒人女性初となります。黒人としては3人目、女性の6人目です▼連邦上院の司法委員会ではジャクソン氏を迎えた公聴会がありました。共和党席から厳しい質問が飛びます。その顔ぶれは、女性1人を除き白人男性ばかり▼メキシコ移民の両親を持つ民主党議員は「人種的に最も多様な環境で育つ今の若者たちに助言は?」と質問。ジャクソン氏は「困難があっても前に進むこと」と語りました▼公立高校から名門私立大学に進み法律を学んだ同氏。育った環境との違いに「私の居場所があるのだろうか」と思ったといいます。そんな時、キャンパスで面識のない黒人女性が声をかけてきました。“前に進め”と。その言葉を胸に道を切り開いてきたジャクソン氏。その歩みは虐げられてきた人たちのたたかいの歴史でもあります。








