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2022年4月4日(月)

きょうの潮流

 日常のくらしをよく描いた向田邦子さんの作品のなかに「お弁当」と題するエッセーがあります。小学校の頃のお弁当の時間は、いやでも自分の家の貧富や家族の愛情を考えないわけにはいかなかったと▼入っているおかずや弁当箱の種類から、その子の家のありさまが透けてくる。そんな思い出をつづった随想ですが、いまではさまざまな弁当がコンビニやスーパーなどで売られ、多くが手にしています▼最大15%の値上げ。この春からコンビニ大手が弁当やパン、麺類などの値段を引き上げています。原材料や物流費の上昇を理由としていますが、定番商品の値上げは財布に痛い▼それだけではありません。私たちの生活全般に欠かせないものが4月から続々と値上げされ、家計を直撃しています。さらに年金の削減や医療費の負担増まで、追い打ちをかける冷たい政治はいっそう▼くらしや営業を守ろうと、消費税の減税を求める声がいま全国でわきあがっています。これほど景気を底から冷やす不公平な税制はない、社会保障には使われず大企業を優遇するだけ、いま世界ではコロナ対策で消費税の減税が広がっている、と訴えながら▼ところが政府は、新たな税負担となるインボイス制度を導入しようとまで。思えば「あのお弁当の時間はなによりも政治、経済、社会について、人間の不平等について学べた時間であった」と記していた向田さん。きっとそれは、庶民の生活からみえた理不尽なものへの疑念や怒りだったのかもしれません。


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