2022年3月29日(火)
きょうの潮流
がん治療は一段落したけれど、周囲から取り残される不安。一方で、無理して仕事をしたら再発するのでは、との不安もありました▼15歳から30代まで「AYA(あや)世代」のがん経験者が、トークイベントで発病後を振り返りました。人生これからという時、未来の設計図が大きく狂います。23歳で胃の全摘手術をした男性は、入社1年目で退職せざるを得ませんでした▼働いていないと自分に自信が持てず、何もかも消極的に。再就職後は、周囲にどこまで話せばいいか悩みました。「でも、がんだったと打ち明けたら仕事を任されないかも」と元気を装い、無理を重ねた時期もありました▼恋愛や結婚に悩む年代でもあります。抗がん剤の副作用で髪もまつ毛も皆抜けて、見た目があまりにも変わってしまって落ち込んだ。人工肛門で便をためるパウチ(袋)をつけているから、裸を見られたくない。「いい関係になっても、自分の気持ちがなかなか上がらない」とある女性は打ち明けました▼急性白血病で骨髄移植をした女性は入院が長引く中で、同じ20代の看護師と仲良くなりました。バレンタインデー前は、医師にチョコレートを渡すかどうか迷う女性と一緒に、悩んでくれました。「同世代の女子として、普通に付き合ってくれたことがうれしかった」と話しました▼「20代でがんになることを社会が想定していない」と指摘する経験者も。2人に1人ががんになる時代、人生のステージごとに直面する不安を受け止める社会が求められています。








