2022年3月25日(金)
きょうの潮流
ウクライナの「非ナチ化」。ロシアのプーチン大統領が主張してきた軍事侵攻の言い訳が、いかにでっち上げだったか。それが如実に表れました▼ナチス・ドイツによるユダヤ人大量虐殺を生き延びた96歳の男性がロシア軍の砲撃で亡くなりました。ホロコースト関連の財団が伝えたもので、犠牲となったのはボリス・ロマンチェンコさん。最も被害を受けている都市の一つ、ハリコフの住居が攻撃されました▼ロマンチェンコさんは強制収容所の生存者として、戦争犯罪の記憶を風化させない活動にかかわってきたといいます。解放記念のイベントで「私たちは、平和と自由が支配する新しい世界を創造する」と誓いのスピーチをしたことも▼「ヒトラーを生き延び、プーチンに殺された」。ウクライナの外相は、言語に絶する犯罪だと激しく非難しました。歴史の歩みを逆戻りさせるような侵略から1カ月。正当性のかけらもないロシアの非道は多くの命を奪い続け、家を追われる人も増え続けています▼いま反戦の声が世界で鳴り響くなか、追いつめられたロシアが化学兵器や核兵器を使うのでは、と懸念されています。国連をはじめ、それを許さない世論をさらに広げなければ▼ウクライナのゼレンスキー大統領は日本に呼びかけました。力を合わせて平和を守ろう。そして世界中の人びとに「抗議の声をあげ、あなたも戦争に立ち向かってください」と。この戦争のもつ意味とは、どうすれば平和や自由は守られるのかと問いかけるように。








