しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2022年3月23日(水)

きょうの潮流

 「雪のたたかいは―だが、実に愉快だ」。小林多喜二の小説「東倶知安行(ひがしくっちゃんこう)」は、1928年2月の第1回普通選挙での山本懸蔵の選挙活動を生き生きと描きました。労農党から出た山本は、実は当時非合法だった日本共産党の候補者でした▼その直前、山本は資金難で、多喜二らが待つ北海道へ出発できずにいました。その時、自分の学費をカンパして送り出したのが伊藤千代子でした。来月公開の映画「わが青春つきるとも―伊藤千代子の生涯」(桂壮三郎監督)で知りました。大学卒業をあきらめる苦渋の決断でした▼長野県諏訪に生まれた伊藤千代子は、東京女子大で社会科学研究会結成に参加し、日本共産党に入党。第1回普選直後の三・一五の大弾圧で検挙され、翌年、獄中で24歳で亡くなりました▼「この目の前にある不公平な社会をなんとかよりよいものとしようとする願(ねがい)はやむにやまれぬものとなってきます」(郷里への手紙)。映画初出演で千代子を演じた井上百合子さんは「私たちの世代には想像もつかないことで監獄に行き、ひどい扱いを受けた。演じていてもつらかった」と語ります▼歌人の土屋文明は、教え子の千代子の死を悼み「こころざしつつたふれし少女(をとめ)よ新しき光の中におきておもはむ」と詠みました。晩年の文明は日本共産党を応援。90年、100歳を迎え「日本共産党の前進に期待します」と「赤旗」に寄せた10カ月後に亡くなりました▼100年の党の歩みを支えてきた人びとの姿に、改めて感慨を覚えます。


pageup