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2022年3月15日(火)

主張

無法重ねるロシア

病院・原発まで攻撃許されない

 ウクライナを侵略しているロシア軍が国際法を踏みにじる行為を重ねています。国連憲章は他国への侵略を禁止しています。さらにロシアは、国際法が禁じた、民間人を標的とする攻撃をやめようとしません。原子力発電所への爆撃は人類の生存に対する脅威です。ロシアはただちに無差別攻撃をやめ、ウクライナから撤退しなければなりません。

直ちに無差別攻撃やめよ

 国連によると、ロシアの軍事侵攻による民間人死傷者は11日までに1500人を超えました。実際にはもっと多いとみられます。

 各地で病院や学校が爆撃されています。南東部のマリウポリでは小児病院が爆撃を受けて患者が生き埋めになり、子どもにも死者が出たと伝えられます。ゼレンスキー大統領が「大量虐殺」と非難し、世界医師会をはじめ国際的な医師団体も「全人類に対する攻撃だ」とする声明を発表しました。

 11日に開かれた国連安全保障理事会の緊急会合では各国が戦争犯罪だと指摘しました。ロシアは攻撃した病院は「過激派の拠点だ」と居直っています。

 そもそも国連憲章は他国への武力行使を禁じています。戦争が起きた場合でも文民の保護をはじめ交戦国が守らなければならないルールを国際法で定めています。

 ジュネーブ第4条約は「文民の保護」を定め、「文民病院はいかなる場合にも攻撃してはならない」と明記しています。ジュネーブ条約第1追加議定書は無差別攻撃を禁じ「攻撃は厳格に軍事目標に対するものに限定する」としています。

 ウクライナは、ロシア軍が殺傷力の強い気化爆弾を使用していると告発しています。空中に散布した燃料に点火することで大爆発を起こし、衝撃波と高温で大きな被害をもたらす爆弾です。これも国際法で禁じられた大量無差別の被害をもたらす攻撃です。

 原発に対する武力攻撃も許しがたい行為です。ロシアはウクライナ侵攻後ただちにチェルノブイリ原発を占拠しました。1986年に世界最大規模の事故を起こし、今も核燃料が残っています。4日には、ザポロジエにあるウクライナ最大の原発関連施設を砲撃し一部を破壊しました。原子炉が破壊されれば、世界規模の大惨事になる危険があります。国際原子力機関(IAEA)は「前例のない危険」と警告しました。

 ジュネーブ条約第1追加議定書は「ダム、堤防および原子力発電所」への攻撃は「危険な力の放出を引き起こす」として攻撃の対象にしてはならないとしています。

人道危機に世界の支援を

 国際司法裁判所はウクライナ侵略について審理を開きましたがロシアは出廷を拒否しました。無差別攻撃については国際刑事裁判所が戦争犯罪の疑いで捜査しています。しかしロシアは同裁判所の管轄権を受け入れていません。国際的な司法を拒むこと自体、ロシアに理がないことを示しています。

 ウクライナから戦火を逃れて周辺国に出た難民は、国連によると260万人を超えています。第2次世界大戦後、最大の難民危機といわれます。国内にとどまる人も食料が乏しく危機的状態です。プーチン政権に即時侵略停止を迫る運動とともに、人道支援を強めることが緊急に求められています。


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